【入門】投資助言・代理業に登録することでできるようになる業務とは?

投資助言・代理業

記事概要

 投資助言・代理業に登録すると、どのような業務が可能になるのでしょうか?本記事では、投資助言業と投資代理業それぞれの業務内容とその違いを解説。さらに、有料レポート配信型や投資スクール型など、実際のビジネスモデル事例を交えて紹介します。登録後にも注意が必要な「できない業務」についても簡潔に触れています。

本記事でわかること

– 投資助言・代理業で「できる業務」の全体像がわかる
 投資助言業と投資代理業それぞれの具体的な業務範囲や違い、代表的なサービス内容について把握できます。

 – 実際のビジネスモデルのヒントが得られる
 登録後に展開できる4つの代表的ビジネスモデル(例:有料レポート配信、スクール併設型、法人顧問型など)を紹介しており、自社に合った形をイメージしやすくなります。

 – 登録してもできない業務簡潔に理解できる
 誤解しやすい「投資運用」や「商品販売」「顧客資産の預かり」など、許されない業務についても簡潔に触れており、リスク回避の一助となります。

 投資助言・代理業は、投資助言業と投資代理業の二つの業務から成り立っています。以下は、それぞれについての簡単な説明です。

◇投資助言業の業務

 投資助言業では、顧客である投資者に対し、投資顧問(助言)契約に基づき、有価証券の価値等または、金融商品の価値等の分析に基づく投資判断を投資者から報酬を得て、投資者のために行う業務であり、最終的な投資判断は投資者自身が行います。

 有価証券の価格等について踏み込んだ助言を提供するファイナンシャル・プランニング業務や投資助言業務は、典型的な投資助言業に該当します。

 一方、新聞や雑誌、書籍等の不特定多数の者に対し、販売されることを目的として発行されるもので、不特定多数の者によって随時購入することが可能な文書に投資判断を掲載するといった行為は、投資助言業には該当しない除外事由とされています。

 しかし、直接業者に購入を申し込まなければ購入できないレポートの販売等は、投資助言業に該当する場合があります。

 さらに、インターネットを用いたサービス提供でも、単発での購入や利用を受け付けず会員登録等をしなければ投資情報の購入や利用ができない場合も投資助言業に該当する場合があり注意が必要です。

◇投資代理業の業務

 私が行政書士として登録のご相談を受けていた時にも、投資助言・代理業への登録をご希望のお客様からのご相談で、ほとんどのお客様は、投資助言業に関心を示されていました。一方、投資代理業に関するご相談は数えるほどしかありませんでした。

 投資助言業に比べるとマイナーな印象がある投資代理業ですが、次のようなものが投資代理業の業務とされています。

 投資代理業は、他の投資助言・代理業者または投資運用業者から投資一任契約または、投資顧問(助言)契約締結に関する委託をされ、投資者との契約締結の代理・媒介を行います。
 実際には、投資代理業の顧客となるのは、ほとんどが機関投資家であり、個人投資家が顧客になるケースはほとんどありません。このような点も、投資代理業がマイナーな印象を持たれる理由でしょう。

◇投資助言・代理業のビジネスモデルとは?

 投資助言・代理業に登録した事業者は、次のようなビジネスを行うことができます。

①有料レポート・ニュースレターの配信ビジネス

概要:
投資情報や市場分析を定期的にPDFレポートやメルマガ形式で配信し、顧客は月額または年額で契約するタイプ。

対象顧客: 個人投資家

特徴:

  • サブスクリプションモデルで収益が安定しやすい
  • コンテンツ形式が固定化しやすく、運用負担を抑えられる

留意点: 不特定多数に販売する形式にすると助言業の該当性を外れる可能性があるため、契約方式・配信方法に注意が必要。

②投資助言を含む投資スクールビジネス

概要:
オンライン講座やセミナーを提供しつつ、会員に対して限定的に銘柄分析や資産配分に関する助言も行うモデル。

対象顧客: 投資初心者~中級者

特徴:

  • 教育サービスとのセット販売で付加価値が高くなる
  • コミュニティ形成によるLTV(顧客生涯価値)の向上が見込める

留意点: 「一般的な教育」と「個別具体的な助言」の境界を意識する必要あり。

③法人向け顧問ビジネス

概要:
中小企業や富裕層向けの投資助言をスポットまたは継続契約で提供する。ファミリーオフィスや法人の財務部門と提携する形も。

対象顧客: 法人、事業主、資産家

特徴:

  • 高額なフィー設定が可能
  • コンサルティング的な色合いが強く、信頼関係が重要

留意点: 顧問契約の範囲と内容を明示し、助言の適格性を維持する必要あり。

④投資代理業ビジネス

概要:
他の投資助言業者や投資運用業者と契約し、エンドクライアント(主に機関投資家)との契約締結を代理・媒介するモデル。

対象顧客: 投資運用業者・投資顧問会社(BtoB)

特徴:

  • 取引先が限定的なため、少数精鋭型の営業が可能
  • 認知度は低いが、報酬体系によっては高収益も期待可能

留意点: 顧客(投資運用業者)との契約内容と、実際の媒介・代理内容の整合性に注意が必要。

◇投資助言・代理業に登録してもできないこと

 最後に、特にトラブルが多いもののみに絞って、投資助言・代理業に登録してもできないことについてまとめておきます。

×投資運用業はできない
 投資助言業は「助言」にとどまり、顧客資産を預かって運用すること(投資一任契約に基づく運用)は投資運用業に該当し、別途の登録が必要です。

×金融商品を販売・仲介することはできない
 有価証券や保険商品の販売、募集、勧誘等は第一種・第二種金融商品取引業保険募集人などの別ライセンスが必要です。

 投資助言・代理業の登録のみで商品の販売等を行うと、無登録営業と判断される可能性があります。

×顧客資産の預かりは禁止
 金融商品取引法上、投資助言・代理業者が顧客資産(現金や証券等)を預かることは禁止されています。

 顧客保護の観点からも、厳密に分離して業務を行う必要があります。

 他に知っておくべき点として投資助言を行わず単なる教育や情報提供にとどまる場合、登録の必要はないケースもありますが、「実質的な助言」と評価される可能性がある場面には注意が必要です。

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