投資助言・代理業の登録審査で落ちないためのオフィス選びのポイント

投資助言・代理業

 投資助言・代理業の登録を目指す事業者にとって、オフィスの選定は単なる物件探しではありません。登録審査では、オフィスが「業務遂行に適した環境」であるかどうかが厳しくチェックされます。特に、図面の提出や標識の掲示、情報管理体制など、形式面と実務面の両方で要件を満たす必要があります。
 本記事では、登録審査に通るために必要なオフィスの条件と、物件選定時の注意点について、実務経験に基づいてわかりやすく解説します。

📝記事概要

 投資助言・代理業の登録を目指す事業者にとって、オフィスの選定は登録審査の通過に直結する重要なポイントです。本記事では、登録審査で求められるオフィスの具体的な要件(施錠可能な専用区画、標識掲示の可否、情報管理体制)をわかりやすく解説するとともに、レンタルオフィスや共有物件を活用する際の注意点も実務目線で紹介します。
 さらに、読者の疑問に答えるQ&Aも掲載し、物件選定から図面提出までの流れをスムーズに進めるためのヒントを提供しています。登録審査でつまずかないために、ぜひ本記事を参考にしてください。

◇投資助言・代理業に登録するためのオフィスの要件とは?

 登録審査では、座席配置図などを含むオフィスの図面を提出する必要があります。そのため、オフィス自体が「投資助言業者として適切な職務遂行が可能な環境」であることが求められます。
 具体的には、以下の要件を満たす物件であることが必要です。

  • 施錠可能であること:第三者がみだりに立ち入れないよう、鍵のかかる専用区画があること。
  • 専用使用区画があること:情報管理の観点から、事業者が単独で使用する部屋やスペースが確保されていること。
  • 標識の掲示が可能なこと:金融商品取引法第36条の2第1項に基づき、営業所・事務所として外部から確認できる位置に標識を掲示できること。

 これらをまとめると、「施錠可能な専用区画があり、標識掲示が可能な物件」であることが、登録審査を通過するための最低条件となります。
 なお、図面は手書きでも構いませんが、座席の配置、施錠区画、標識掲示位置などが明確に記載されていることが重要です。物件契約前に図面作成を想定しておくと、後の手続きがスムーズです。

◇レンタルオフィスは要件を満たせるか?

 上記の要件を満たしていれば、レンタルオフィスでも登録は可能です。実際に登録支援を行った際には、施錠区画の写真や契約書の該当部分を添付することで、審査が円滑に進んだケースもあります。
 ただし、コワーキングスペースやバーチャルオフィスのみの場合は、専用区画がないため、登録要件を満たさず、審査で却下される可能性があります。「レンタルオフィスなら何でもOK」という誤解には注意が必要です。
 物件選定時には、以下の点を事前に確認しておくと安心です。

  • 管理会社や大家に「施錠可能な専用区画の有無」を確認する
  • 「標識掲示が可能か(外部から見える位置に掲示できるか)」を契約前に確認する

◇他の事業者とオフィスを共有することは可能か?

 他の事業者とオフィスを共有する場合でも、以下の条件を満たせば登録は可能です。

  • 固定式パーテーションなどで区画を分離し、施錠可能な専用スペースを確保すること
  • 顧客情報等の重要情報を適切に管理するため、電話・郵便・インターネット回線を他事業者と分離すること

 移動可能な簡易パーテーションでは「壁等」として認められない可能性があるため、固定式であることが望ましいです。共有物件での登録を検討する場合は、技術的・契約的に分離が可能かどうかを事前に確認しておくことが重要です。

◇まとめ:登録審査を意識したオフィス選びを

 投資助言業の登録審査では、オフィス環境が形式的にも実務的にも整っていることが求められます。施錠可能な専用区画、標識掲示の可否、情報管理体制など、物件選定の段階から審査基準を意識することで、登録手続きがスムーズに進みます。
 「登録できるかどうか」ではなく、「登録審査で落ちないためにどう準備するか」という視点で、オフィス選びを進めていきましょう。

💡 Q&A:登録審査を意識したオフィス選びのポイント

Q1.レンタルオフィスの契約書に「共用スペース」と記載がありますが、登録審査に通りますか?
A1. 共用スペースのみでは登録要件を満たしません。施錠可能な専用区画が契約上明記されている必要があります。契約書に「専用使用部分」や「鍵付き個室」などの記載があるか確認しましょう。

Q2.標識はどこに掲示すればよいですか?
A2.金融商品取引法の規定により、外部から見える位置(例:入口付近の壁やドア)に掲示する必要があります。建物の管理規約で掲示が制限されていないか、事前に確認しておくと安心です。

Q3.図面はどの程度の詳細が必要ですか?
A3.手書きでも構いませんが、座席の配置、施錠区画、標識掲示位置が明確に記載されていることが重要です。可能であれば、物件の間取り図に追記する形が望ましいです。

Q4.電話やインターネット回線の分離は必須ですか?
A4.はい、他事業者と共有している場合は、顧客情報の漏洩リスクを避けるため、回線の分離が求められます。契約時に専用回線の利用が可能か確認しましょう。

Q5.登録後にオフィスを移転する場合、再審査は必要ですか?
A5.はい、オフィス移転時には変更届出が必要となり、場合によっては再度図面や標識掲示の確認が求められます。移転先も登録要件を満たす物件であることが前提です。

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✍ 執筆者プロフィール

 金融法務コンサルタント。元行政書士として、IFA登録や投資助言・代理業登録の支援実績多数。
 現在は、ブログ・noteを通じて、金融ビジネスに関心のある実務家向けに情報発信を行っています。

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