無登録で投資助言をするとどうなる?行政罰・刑事罰の全貌

投資情報発信

 SNSやブログ、YouTubeなどを通じて投資情報を発信する個人は年々増えています。投資経験や知識を共有すること自体は社会的に有益ですが、もしその発信内容が「特定の銘柄を買うべき」、
「この投資信託は売却した方が良い」といった具体的な投資判断に踏み込んでいる場合、知らないうちに投資助言・代理業の無登録営業に該当してしまう可能性があります。
 そして、この「無登録営業」は単なる注意で済むものではなく、行政処分・刑事罰・社会的信用の失墜といった重大なリスクを伴います。個人であっても例外ではなく、銀行口座の閉鎖やクレジットカード審査への影響など、生活に直結する不利益に発展することもあるのです。
 本記事では、情報発信者個人が直面し得るリスクに焦点を当て、行政罰・刑事罰の内容、その他の社会的影響を整理します。安心して情報発信を続けるために、ぜひ理解しておくべきポイントを解説します。

📝 記事概要

 本記事では、SNSやブログ、YouTubeなどで投資情報を発信する個人が直面し得る「投資助言・代理業の無登録営業リスク」について解説しています。

  • 投資助言・代理業とは何か
    金融商品取引法に基づき、顧客に対して具体的な投資判断を助言する業務を指す。一般的な知識共有と助言業の境界線は曖昧で注意が必要。
  • 無登録業者とみなされる典型例
    SNSで銘柄推奨、有料メルマガやnoteで売買助言、オンラインサロンでの助言、個別相談サービスなど。報酬の有無や助言の具体性が判断基準となる。
  • 行政罰の内容
    警告処分、業務停止命令、金融庁サイトでの公表など。社会的信用を大きく失うリスクがある。
  • 刑事罰の内容
    個人は懲役5年以下または罰金500万円以下、法人は罰金5億円以下。懲役と罰金の併科もあり得る。
  • その他の社会的ペナルティ
    銀行口座の閉鎖、信用情報への影響、将来的な登録申請不可、顧客離れなど生活や事業基盤に直結する不利益。
  • 結論
    無登録で投資助言を行うことは「知らなかった」では済まされない重大なリスクを伴う。安心して情報発信を続けるためには、登録制度の理解と専門家への相談が不可欠。

◇投資助言・代理業とは何か

 投資助言・代理業とは、金融商品取引法に基づき、顧客に対して有価証券の価値や投資判断に関する助言を行う業務を指します。「この銘柄を買うべきだ」、「この投資信託は売却した方が良い」といった具体的な判断を促す行為は助言業に該当します。一方で、「投資の基本的な考え方」、「一般的な市場動向の紹介」などは必ずしも助言業に該当しません。ただし、この境界線は非常に曖昧です。例えば「30代に絶対おすすめの金融商品はこれ」といった表現は、受け手を特定し、個別商品の購入を推奨していると受け取られる余地があり、極めてリスクの高い情報発信になります。

◇無登録業者とみなされやすい典型例

 投資関連の情報を発信する個人が、知らず知らずのうちに「投資助言・代理業」に該当してしまうケースは少なくありません。代表的な例を挙げます。

  • SNSやブログで特定銘柄を推奨し、報酬を受け取る場合
    例:TwitterやYouTubeで「この株は必ず上がる」と具体的な銘柄を推奨し、広告収入や投げ銭を得る。
  • 有料メルマガやnote記事で投資判断を助言する場合
    例:購読者に「今月はこの投資信託を買うべき」と具体的な売買判断を提示し、購読料を受け取る。
  • オンラインサロンやコミュニティで投資助言を行う場合
    例:会員制グループで「この銘柄は来週上昇するから買い」と助言し、会費を徴収する。
  • 個別相談サービスとして投資判断を助言する場合
    例:Zoomやチャットで「あなたの資産状況ならこの銘柄を買うべき」と個別に助言し、相談料を受け取る。
  • 「情報提供」と称して実質的に助言している場合
    例:ブログ記事で「この銘柄は割安だから買い」と断定的に書き、アフィリエイト収入を得る。

注意すべきポイント

  • 報酬を得ているかどうかが重要な判断基準。
  • 投資判断に影響を与える具体的な助言をしているかどうかも大きなポイント。
  • 「一般的な情報提供」と「投資助言」の境界線は曖昧であり、個人情報発信者ほどリスクを見落としがち。

◇無登録で行った場合の行政罰

 金融庁や財務局は、無登録で投資助言を行っている者に対して以下のような行政処分を行います。

  • 警告処分:注意喚起として警告が出される。
  • 業務停止命令:悪質な場合は業務停止命令が出され、事業活動が制限される。
  • 公表:金融庁のウェブサイトに「無登録業者」として掲載され、社会的信用を大きく失う。

◇無登録で行った場合の刑事罰

 行政処分にとどまらず、刑事罰が科されることもあります。

  • 個人の場合:金融商品取引法第197条の2に基づき、5年以下の懲役または500万円以下の罰金、またはその併科。
  • 法人の場合:金融商品取引法第207条により、5億円以下の罰金。
  • 併科の可能性:懲役と罰金が同時に科されるケースもあり得る。

◇その他のペナルティ(社会的影響)

 法的な罰則だけでなく、社会的影響も深刻です。代表的なものは以下の通りです。

  • 金融機関口座の閉鎖:銀行がリスク管理の観点から口座を閉鎖する場合がある。
  • 信用情報への影響:罰金や信用失墜により、ローンやクレジットカード審査に通らなくなる可能性。
  • 将来的な登録申請不可:過去に無登録営業を行った事実があると、登録申請時に「欠格事由」とされる。
  • 社会的信用の失墜:顧客離れや事業継続困難につながる。

 特に金融機関口座の閉鎖は、個人にとって日常生活に支障をきたす深刻なペナルティです。こうした不利益を避けるためにも、無登録での投資助言は絶対に避けるべきです。

◇まとめ

 投資助言・代理業を無登録で行うことは、行政処分や刑事罰だけでなく、生活や事業基盤にまで影響を及ぼす重大なリスクを伴います。
 「知らなかった」では済まされません。情報発信者や事業者は必ず登録制度を理解し、必要に応じて専門家に相談することが重要です。
 専門家の助言を受けながら適切な情報発信を行うことで、「投資助言をするつもりはなかったのに」という事態を防ぎ、信頼される情報発信者として安全に活動を続けることができます。

💬Q&A:無登録で投資助言をしてしまうリスクについて

Q1. 投資の勉強として自分の考えをSNSに投稿するのも違法になりますか?
A1. 一般的な投資の考え方や市場動向の紹介は違法ではありません。ただし「この銘柄を買うべき」といった具体的な投資判断を示すと、投資助言・代理業に該当する可能性があります。

Q2. 報酬を受け取らなければ投資助言をしても問題ないのでしょうか?
A2. 報酬の有無は重要な判断基準ですが、それだけでは安全とは言えません。無償であっても、継続的に具体的な投資判断を発信していると「業として行っている」とみなされる可能性があります。

Q3. 無登録営業が発覚した場合、必ず刑事罰になりますか?
A3. まずは警告や行政処分が行われるケースが多いですが、悪質または継続的な場合には刑事罰に発展する可能性があります。懲役や罰金といった重い処分が科されることもあります。

Q4. 「情報提供」として銘柄を紹介するのはセーフですか?
A4. 「情報提供」と称していても、実質的に投資判断を促す内容であれば助言業に該当します。例えば「この銘柄は割安だから買い」と断定的に書くのは非常にリスクが高い行為です。

Q5. 無登録営業の事実があると、将来登録することはできませんか?
A5. 過去の無登録営業は「欠格事由」とされる場合があり、登録申請が認められない可能性があります。将来の活動の幅を狭めないためにも、早い段階で適切な対応を取ることが重要です。

Q6. 安心して投資情報を発信するためにはどうすればいいですか?
A6. 「一般的な投資知識の共有」「市場全体の動向紹介」などに留めることが安全です。もし具体的な助言を行いたい場合は、必ず登録を行うか、専門家に相談して適法な形で活動することをおすすめします。

参考資料
金融庁:金融商品取引業者向けの総合的な監督指針
金融庁:無登録で金融商品取引業を行う者の名称について
財務省関東財務局:登録に係るQ&A(投資助言・代理業)

関連ページ
行政処分事例から学ぶ教訓③|教育と助言の境界線とは?

✍ 執筆者プロフィール

 金融法務コンサルタント。元行政書士として、IFA登録や投資助言・代理業登録の支援実績多数。
 現在は、ブログ・noteを通じて、金融ビジネスに関心のある実務家向けに情報発信を行っています。現在公開中の有料note記事は、投資助言/IFA有料note紹介で紹介していますので、ご興味のある方は、ご覧ください。

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