金融広告表現実務ガイド

 投資助言業やIFA事業において、広告や情報発信は顧客との信頼構築に欠かせない重要な業務のひとつです。しかし、金融商品取引法や金融庁のガイドラインにより、広告表現には厳格な規制が設けられており、誤認を招く表現は行政処分の対象となる可能性があります。
 このページでは、金融商品取引業者が広告で使ってはいけない表現を実務視点で整理し、代替案とともにご紹介します。特に、投資助言業・IFA事業に関係の深い表現を中心に、現場でのチェックや制作時の参考になるよう構成しています。
 広告制作・LP作成・SNS投稿・note記事執筆など、日々の情報発信における表現チェックにぜひご活用ください。

◇NG表現一覧と代替案(表形式・6例)

◇実務対応のポイント

  • 「儲かる」「保証」「安心」などの語句は、文脈によってはOKでも誤認リスクが高いため慎重に。
  • 代替案では「事実ベース+読者の判断を尊重する表現」にすることで、信頼性を保ちつつ訴求力も維持できます。
  • 表現のチェックは、広告審査・制作段階・SNS投稿前に行うのが理想です。

📚 広告表現に関するQ&A(投資助言業・IFA事業向け)

Q1.「必ず儲かる」という表現は、どのような理由で使ってはいけないのですか?
A1. 「必ず儲かる」という表現は、確実性の示唆に該当し、金融庁のガイドラインで明確に禁止されています。投資には元本割れや損失の可能性があるため、誤認を招く表現は行政処分の対象となる恐れがあります。

Q2.「元本保証」という言葉を使っても問題ないケースはありますか?
A2. 原則として、元本保証は投資助言業・IFA事業では使えません。仮に元本保証型の商品を紹介する場合でも、保証の主体・条件・リスクを明確に記載しない限り、誤認と判断される可能性があります。

Q3.「プロが運用します」という表現はIFAでも使えますか?
A3. IFAは運用者ではなく、仲介を行う立場です。「プロが運用」という表現は、IFAが直接資産運用を行うと誤認される恐れがあるため、不適切です。代わりに「登録された助言者が情報提供を行います」などの表現が望ましいです。

Q4.「初心者でも簡単に儲かる」という表現は使えますか?
A4. この表現は、過度な期待を煽るものであり、誤認の可能性が高いため避けるべきです。初心者向けの情報提供は可能ですが、「儲かる」「簡単」などの表現は慎重に扱う必要があります。

Q5.「安心・安全な投資」という表現はどこまで許容されますか?
A5. 「安心」「安全」といった抽象的な表現は、客観的根拠がない限り誤認を招く可能性があります。商品の特性やリスクを具体的に説明したうえで、読者の判断を尊重する表現にすることが重要です。

Q6.「金融庁登録済みだから安心」という表現は使っても問題ありませんか?
A6. 金融庁登録は法令遵守の前提であり、安全性を保証するものではありません。「登録済みだから安心」という表現は誤認を招くため、「登録業者として法令遵守に努めています」といった表現が適切です。

Q7. 提携している証券会社名を広告に記載してもよいですか?
A7. 記載自体は可能ですが、提携内容が不明確な場合は誤認を招く恐れがあります。「〇〇証券と業務委託契約を締結しています」など、契約形態や業務範囲を明示することが重要です。

Q8. SNSやnoteでの投稿も広告規制の対象になりますか?
A8. はい、広告とみなされる内容(勧誘性があるもの)は、媒体を問わず規制の対象になります。特にSNSは拡散力が高いため、表現には十分な注意が必要です。

Q9. 過去の運用実績を掲載する場合、どのような注意点がありますか?
A9. 実績を掲載する場合は、将来の成果を保証するものではない旨を明記する必要があります。また、出典や期間、計算方法などの根拠を明示することで、誤認リスクを下げられます。

Q10.「〇〇ランキング1位」といった表現は使えますか?
A10. ランキング表現は、出典・調査方法・対象期間などを明示すれば使用可能です。ただし、恣意的な順位や根拠不明のランキングは誤認を招くため避けるべきです。

参考資料
金融庁「VII. 監督上の評価項目と諸手続(投資助言・代理業)」
日本証券業協会「広告等に関する指針 (PDF)」

関連ページ
金融商品取引業者に対する広告規制

タイトルとURLをコピーしました