投資助言業に関するご質問

 このページでは、投資助言・代理業に関心のある個人や事業者の方々に向けて、登録に必要な要件や実務上の注意点をQ&A形式でわかりやすく解説しています。詳細な事例や制度改正の動向については、当サイトのブログ記事も併せてご参照ください。

  1. Q1.投資助言・代理業の登録に必要な人的要件とは?
  2. Q2.投資助言・代理業に登録する際の職務経験の要件は?
  3. Q3.個人でも投資助言・代理業に登録することはできますか?
  4. Q4.投資助言・代理業に登録した後、業務を始めなかった場合はどうなりますか?
  5. Q5.投資助言・代理業者は一般社団法人日本投資顧問業協会に加入しなければならないのですか?
  6. Q6.投資助言・代理業に登録後、人的構成要件を満たせなくなった場合はどうなりますか?
  7. Q7. どのような行為が「投資助言・代理業」に該当するのか教えてください
  8. Q8.投資助言・代理業と他の業務を兼業することは可能ですか?
  9. Q9.投資助言業の登録要件が緩和されると聞きましたが、どのような内容ですか?
  10. Q10.外部の専門家に依頼すれば、社内にコンプライアンス担当者を置かなくてもよいのでしょうか?
  11. Q11.投資助言・代理業の業務開始には営業保証金が必要と聞きました。詳しく教えてください。
  12. Q12.金融経済教育推進機構(J-FLEC)が設立されたそうですが、投資助言・代理業への影響はありますか?
  13. Q13.投資助言と金融商品の販売を同時に行いたいと考えています。制度上、可能でしょうか?
  14. Q14.投資スクールなどでFX取引の講義を行う際、投資助言・代理業に該当しないためには何に注意すべきですか?
  15. Q15.同一人物が複数の職務を兼務する場合、どのような点に注意すべきですか?
  16. Q16.投資助言・代理業に登録すると、どのような報告書をどの程度の頻度で提出する必要がありますか?
  17. Q.17投資助言業の登録申請時に、サイバーセキュリティ体制の整備は必要ですか?

Q1.投資助言・代理業の登録に必要な人的要件とは?

(こんな方におすすめ:登録を検討している個人事業主や法人の代表者)

A1. 投資助言・代理業の登録には、業務内容に応じて以下のような役割を担う人材が必要です

  • 代表者
  • 分析・助言担当者
  • コンプライアンス担当者
  • 内部監査担当者
    「4人も必要なの?」と不安に思われるかもしれませんが、実際には兼務が可能です。たとえば、代表者が分析・助言担当者を兼ねるケースも認められています。業態によっては、2名体制でも登録が認められる場合があります。
    ただし、重要なポイントとして、以下の条件を満たす必要があります:

⚠️ 注意点
 金融商品取引業者または登録金融機関での勤務経験者が2名以上いない場合、原則として登録は認められません。

 登録審査では、申請者の業務経験や知識、業態の内容を踏まえて、事例ごとに柔軟に判断されます。
そのため、登録を検討する際は、人的体制を事前に整理し、どの役割を誰が担うかを明確にしておくことが重要です。

Q2.投資助言・代理業に登録する際の職務経験の要件は?

(こんな方におすすめ:登録を検討している個人事業主や法人の代表者、役職員の選任を考えている方)

A2.登録には、担当する役割ごとに一定の職務経験が求められます。以下に、代表的な4つの役割について要件をまとめました。

🔹代表者(経営者)
 登録申請者が法人の場合、代表者には以下のような経験や能力が求められます:

  • 金融商品取引業者の役員経験(3年以上が目安)
    ※複数社での経験を合算することも可能です。
  • 他業種での役員経験がある場合
    → 資格取得、講習会参加、外部専門家の支援体制などで金融業に関する知識を補完すれば、登録が認められるケースもあります。
  • 役員経験がない場合でも、金融商品取引業者での管理職経験がある方
    → 経営関連の資格やセミナー参加などで補完すれば、登録可能な場合があります。

⚠️ 注意:経営経験も金融業界での業務経験もない方は、登録が極めて困難です。

🔹分析・助言担当者
 この役割を担う方には、金融商品の価値や特性に関する知識・経験が求められます:

  • 助言対象となる金融商品に関する3年以上の実務経験
    → 登録予定の会社での経験が基本となります。
  • 金融業界での経験がない場合でも
    → 自身の投資経験が評価され、登録が認められるケースもあります。

🔹コンプライアンス担当者
 金融商品取引法に基づくコンプライアンス体制の構築・運用を担う役割です:

  • 金融商品取引業におけるコンプライアンス業務の実務経験(3年以上)
    ※2007年9月30日以降の経験が対象です。以前の経験は原則として認められません。
  • 実務経験が3年未満でも評価されるケース
    → 弁護士として関連業務を扱った経験、外務員資格の保有、業界団体の研修履修などがプラス評価されることがあります。

🔹内部監査担当者
 業務の適正性をチェックする役割で、以下のような経験が求められます:

  • 金融商品取引業者での監査役または内部監査担当者としての3年以上の実務経験
  • 他業種での監査経験がある場合
    → 顧問弁護士などの外部支援体制を整えれば、登録が認められることがあります。
  • 実務経験者が確保できない場合
    → 外部の弁護士や行政書士に委託することも可能ですが、社内に内部監査担当者を置くことは必須です。

📘 補足情報
 より詳しい内容は、「【2025年版】投資助言・代理業に登録するための人的構成要件まとめ」にて、事例を交えて解説しています。ぜひご参照ください。

Q3.個人でも投資助言・代理業に登録することはできますか?

(こんな方におすすめ:個人事業主、副業として投資助言を検討している方)

A3.はい、個人でも投資助言・代理業に登録することは可能です。
 ただし、登録にあたっては以下のような条件を満たす必要があります:

  • 行おうとする業務の内容が、法令に照らして適切であること
  • 登録希望者自身に、金融商品取引業や関係法令に関する十分な知識・経験があること
  • 必要に応じて、知識を補完できる体制の整備(例:専門知識を持つ使用人の雇用、外部専門家への業務委託など)

💡 ポイント
 個人での登録は可能ですが、法人と比べて体制構築の柔軟性が限られるため、事前に「どの業務を誰が担うか」「外部支援をどう活用するか」を明確にしておくことが重要です。

📘 補足情報

 このテーマについては、は、当事務所のブログ「個人事業主でも登録できる?投資助言・代理業登録の必要条件と現実」でより詳しく解説しておりますのでご興味のある方は、ご覧ください。

Q4.投資助言・代理業に登録した後、業務を始めなかった場合はどうなりますか?

(こんな方におすすめ:登録申請後のスケジュールや準備に不安がある方)

A4.登録後、業務を開始しないまま放置すると、登録が取り消される可能性があります。

 具体的には、以下のようなルールが定められています:

  • 登録後、業務を行える状態になった日から3カ月以内に業務を開始する必要があります
  • 正当な理由がないまま業務を開始しない場合、財務局等によって登録が取り消されることがあります

⚠️ 注意
 「正当な理由」とは、例えば営業保証金の供託が遅れている、人的体制の整備が完了していないなど、やむを得ない事情がある場合に限られます。単なる準備不足や放置は認められません。

💡 アドバイス
 登録申請を行う前に、営業開始までのスケジュールを逆算し、人的体制や供託手続きなどを事前に整えておくことが重要です。

Q5.投資助言・代理業者は一般社団法人日本投資顧問業協会に加入しなければならないのですか?

(こんな方におすすめ:登録後の業界団体への加入を検討している方)

A5.加入は任意です。必須ではありません。

 投資助言・代理業者が、一般社団法人日本投資顧問業協会(以下、協会)に加入するかどうかは、事業者自身の判断に委ねられています。

💡 加入するメリットとしては、以下のような点が挙げられます:

  • 業界の最新動向や制度改正に関する情報提供を受けられる
  • 会員向けの研修やセミナーに参加できる
  • 金融ADR制度(苦情処理・紛争解決支援)を活用できる

⚠️ 加入しない場合でも、金融ADR制度への対応は必要です。
 協会に加入しない場合は、別途、金融庁が指定する認定ADR機関との契約など、苦情処理・紛争解決体制の整備が求められます。

📘 補足情報
協会加入の判断材料や金融ADR制度の概要については、当サイトのブログ記事「【入門】投資助言・代理業と金融ADR制度について」で詳しく解説しています。ぜひご参照ください。

Q6.投資助言・代理業に登録後、人的構成要件を満たせなくなった場合はどうなりますか?

(こんな方におすすめ:登録後の体制維持や人員変更に不安がある方)

A6.人的構成要件を満たせなくなった場合、登録取消しのリスクがあります。

 実際に、過去には「金融商品取引業を適切に遂行するに足りる人的構成が確保されていない」と判断され、登録取消し処分を受けた事例もあります。

⚠️ 人的構成要件は、登録時だけでなく登録後も継続的に維持する必要があります。

🔧 対応と予防策

  • 役職員の退職や異動などにより要件を満たせなくなる可能性を想定し、代替人員の確保や業務継続体制の整備を事前に検討しておくことが重要です。
  • 特に、業務管理責任者や助言担当者の退職は影響が大きいため、後任候補の育成や外部人材の活用も視野に入れておくと安心です。

📄 届出義務について
 役職員の退職・異動等が生じた場合は、金融商品取引法に基づき、
 「金融商品取引業者の役員又は政令で定める使用人の変更届出」など、該当する届出を期限内に提出する必要があります。
 提出漏れや遅延は、行政処分のリスクにもつながるため、十分ご注意ください。

Q7. どのような行為が「投資助言・代理業」に該当するのか教えてください

(こんな方におすすめ:現在の業務が登録対象かどうか不安な方、事業計画を立てている方)

A7. 投資助言・代理業に該当するかどうかは、「有価証券等の価値に関する助言を、有償で行っているか」が基本的な判断軸です。
 以下に、代表的な該当例・非該当例・注意すべきグレーゾーンを整理しました。

✅ 投資助言・代理業に該当する行為(登録が必要)

  • 株式・債券・投資信託などの値動き予想を、有償で助言する行為
    → 有価証券の価値に関する有償助言は、登録対象です。
  • ブログやウェブサイトで助言を行い、広告収入などの報酬を得ている場合
    → 無償であっても、実質的に「有償」とみなされる可能性があります。
  • 暗号資産の売買タイミングを具体的に助言する行為
    → 投資判断の提供に該当します(※暗号資産は対象外の場合もありますが、助言内容によっては規制対象になります)。
  • セキュリティートークン(電子記録移転権利)の値動き予想を助言する行為
    → 有価証券と位置づけられるため、助言だけで登録対象となります。
  • オンラインサロンで株式やFXの売買判断を継続的に助言する場合
    → 継続的な投資判断の提供は、投資助言・代理業に該当します。

❌ 該当しない行為(原則、登録不要)

  • FXなどの値動き予想を配信するだけ(売買判断を含まない場合)
    → 有価証券指標に関連しない限り、原則として登録不要です。
  • 新聞・雑誌・書籍などの販売
    → 一般的な情報提供であれば、助言業には該当しません。
  • 投資分析ツールやソフトウェアの単体販売
    → 助言行為を伴わない限り、登録は不要です。

⚠️ 注意すべきグレーゾーン(該当する可能性あり)

  • 無償の情報提供でも、広告収入や間接的な報酬がある場合
    → 実質的に「有償」とみなされる可能性があるため注意が必要です。
  • 特定のレポートや情報が「助言業者に申し込まないと入手できない」形式の場合
    → 実質的な助言提供と判断され、登録が必要になることがあります。
  • ソフトウェア販売に加え、継続的に投資判断に関するデータ提供を行う場合
    → 助言行為とみなされる可能性があるため、慎重な判断が求められます。

📘 補足情報
 ご自身の業務が該当するかどうか不安な場合は、金融庁のガイドラインや過去の行政処分事例を参考にするほか、専門家への相談も有効です。当サイトでも、具体的な事例を交えた解説記事を掲載していますので、ぜひご覧ください。

Q8.投資助言・代理業と他の業務を兼業することは可能ですか?

(こんな方におすすめ:既存事業との併用を検討している方、副業や複業を考えている方)

A8.はい、投資助言・代理業は他の業務との兼業が可能です。

 投資助言・代理業は、投資に関する助言の提供を主な業務とするため、業務範囲が比較的限定されており、他業務によって財務基盤が不安定になるリスクが低いと考えられています。
 そのため、金融商品取引法上、他の業務との兼業は禁止されていません(金商法第35条の2第1項)。

⚠️ ただし、以下の点には注意が必要です:

  • 兼業する業務に別途規制がある場合は、その規制に従う必要があります
    → 例:金融商品仲介業、保険業など、業法による制限がある業務
  • 公益に反すると認められる業務は兼業できません
    → 例:反社会的勢力との関係が疑われる事業、社会的信頼を損なう業務など
    → 金商法第29条の4第1項1号ニ、および第52条第1項1号に基づく制限

💡 実務上のポイント
 兼業を検討する際は、以下を事前に確認しておくと安心です:

  • 兼業予定の業務が、金融庁や業界団体のガイドラインに抵触しないか
  • 投資助言業務との利益相反が生じないか(例:販売業務との兼業)
  • 顧客に対して、業務の区分や責任範囲を明確に説明できる体制があるか

Q9.投資助言業の登録要件が緩和されると聞きましたが、どのような内容ですか?

(こんな方におすすめ:登録要件のハードルに悩んでいる方、制度改正の動向を知りたい方)

A9. 金融庁では、助言対象を限定した投資助言業に関して、登録要件の緩和を検討しています。

 2022年11月に公表された「金融審議会 市場制度ワーキング・グループ 顧客本位タスクフォース中間報告(案)」において、以下のような方向性が示されました:

📌 検討されている緩和の内容

  • 助言対象を「つみたてNISA」や「iDeCo」などの特定の資産形成制度に限定することで、
    → 登録要件を一部緩和する方向で制度設計が検討されています
  • 緩和にあたっては、必要な監督体制の整備も併せて行われる予定です

💡 期待される影響

  • 従来の登録要件(人的構成や職務経験など)を満たすことが難しかった事業者でも、
    → 助言対象を絞った形であれば、登録が可能になる可能性があります
  • 特に、NISAやiDeCoに特化したアドバイスを提供したい個人事業主や中小事業者にとっては、
    → 新たな参入機会となる可能性があります

📘 補足情報
 制度改正の詳細や最新の検討状況については、、金融庁ホームページをご確認ください。
当サイトでも、改正の背景や実務への影響を解説したブログ記事を随時更新しています。

Q10.外部の専門家に依頼すれば、社内にコンプライアンス担当者を置かなくてもよいのでしょうか?

A10. 外部支援を受ける場合でも、社内にコンプライアンス担当者を置く必要があります。

 投資助言・代理業の登録要件では、社内に適切な人的体制を整えることが求められています。
そのため、弁護士など外部の専門家に業務を委託したとしても、社内にコンプライアンス担当者が不在の状態では登録要件を満たせません。

⚠なぜ外部委託だけでは不十分なのか?

  • コンプライアンスは継続的かつ日常的な業務であり、社内での実務対応が不可欠です
  • 外部専門家は補助的な役割にとどまり、内部体制の代替とは認められません

✅ 社内担当者に求められる条件

  • 金融商品取引業者または登録金融機関でのコンプライアンス業務の実務経験があること
  • 単に名義上の担当者を置くだけではなく、実効性のある体制構築が必要です

📘 補足情報
 人的構成に関する詳細な要件や、登録審査で重視されるポイントについては、金融庁のガイドラインやFAQも参考になります。
 当事務所のブログ「投資助言・代理業におけるコンプライアンス業務の外部委託:制度改正と実務の最新動向」でもこのテーマを取り上げていますので、よろしければご覧ください。

Q11.投資助言・代理業の業務開始には営業保証金が必要と聞きました。詳しく教えてください。

A11. はい、業務開始には営業保証金の供託が必要です。

 投資助言・代理業の登録を受けた後、実際に業務を開始するためには、以下の手続きが必要です。

💰 営業保証金の概要

  • 金額は500万円です
  • 主たる営業所の最寄りの供託所(法務局)へ供託する必要があります
  • 供託後は、財務局または財務事務所へ届出を行うことで、業務開始が可能になります
    (根拠:金融商品取引法第31条の2、施行令第15条の12)

💡 現金以外での供託も可能です
 営業保証金は、現金だけでなく、一定の有価証券や債権でも供託することが認められています。
具体的には、以下のような資産が対象となります:

  • 国債証券
  • 地方債証券
  • 政府保証債権
  • 金融庁長官が指定した社債券などの債権
    これらの資産を用いる場合、額面金額が500万円を超える必要があるケースもあります。
    評価方法や供託所の取り扱いによって必要額が異なるため、供託前に事前確認を行うことが重要です。
    (根拠:金融商品取引業等に関する内閣府令第29条および第30条)

Q12.金融経済教育推進機構(J-FLEC)が設立されたそうですが、投資助言・代理業への影響はありますか?

A12. 一部の投資助言・代理業者にとっては、J-FLEC認定アドバイザー制度が制約となる可能性があります。

🏛 J-FLECとは?
 金融経済教育推進機構(J-FLEC)は、金融庁の方針に基づき設立された新たな機関で、中立的な立場で投資者にアドバイスを行う「J-FLEC認定アドバイザー」の認定を主要な役割の一つとしています。

✅ 認定アドバイザーの要件
 認定基準は、金融庁が事前に示した案とほぼ同様で、以下のような資格・経験が求められます:

  • 有益な資格:CFP、AFP、外務員、弁護士などの士業、消費生活相談員 等
  • 一定の業務経験:家計管理、生活設計、資産形成制度(NISA・iDeCo等)、金融商品・サービス、消費生活相談などに関する実務経験

⚠ 投資助言・代理業者への影響

  • 代理業を行っている事業者に勤務している者は、J-FLEC認定アドバイザーとして認定されないことが明記されています
  • そのため、代理業を中心に活動している事業者にとっては、J-FLEC制度を活用した中立的助言の提供が難しくなる可能性があります

📘 補足情報
 J-FLEC認定アドバイザー制度の詳細や、認定のメリット・デメリットについては、当事務所のブログ記事「【解説】金融経済教育推進機構認定アドバイザーの認定要件とメリット・デメリット」にて詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

Q13.投資助言と金融商品の販売を同時に行いたいと考えています。制度上、可能でしょうか?

A13. 制度上は可能ですが、実務的には高いハードルがあるため慎重な検討が必要です。

✅ 制度上の位置づけ

  • 投資助言・代理業と金融商品の販売(例:IFAとしての仲介業務)は、制度上は兼業可能です
  • ただし、両業務を同時に行う場合は、利益相反や顧客保護の観点から高度な弊害防止措置が求められます

⚠ 実務上の課題

  • 兼業を希望する場合、特に投資助言・代理業の登録審査では厳格な体制整備が必要です
  • 具体的には、以下のような対応が求められます:
  • 利益相反を防ぐための業務分離体制の構築
  • 適切な社内人員の確保と継続的な教育・監督体制
  • 必要に応じて、外部専門家の支援(弁護士・コンプライアンス顧問等)
  • これらの体制整備には、初期コストだけでなく継続的な運用コストが発生します

💡 実務的な選択肢

  • コスト・体制構築の負担を考慮すると、投資助言業務と金融商品の販売のいずれかに絞る方が合理的なケースが多く見られます
  • 特に、スタートアップや小規模事業者の場合は、専門性と収益モデルの明確化が重要です

📘 補足情報
 兼業に関する制度的な制約や実務上の留意点については、Q8でも詳しく解説しています。
 併せてご確認いただくことで、より具体的な判断材料が得られるはずです。

Q14.投資スクールなどでFX取引の講義を行う際、投資助言・代理業に該当しないためには何に注意すべきですか?

A14. 講義内容が「個別具体的な売買判断の助言」に踏み込まないよう注意が必要です。

✅ 判断の基本的な考え方

  • 投資助言・代理業に該当するかどうかは、発言の一部だけでなく、講義全体の文脈や受講生との関係性を踏まえて判断されます
  • Q7でも触れたように、「一般的な知識の提供」と「個別の売買助言」の線引きが重要です

🟢 登録が不要と考えられる行為(一般的な教育)
 以下のような内容は、投資助言・代理業には該当しないと考えられます:

  • FX取引の仕組みや概要に関する説明
  • 経済指標の見方・読み方の解説
  • ローソク足やチャートの読み方、注文方法、トレードシステムの使い方など、基礎的な知識の教授
    これらは、特定の金融商品や取引タイミングを推奨するものではないため、助言行為とはみなされません。

🔴 登録が必要と考えられる行為(個別具体的な助言)
 以下のような行為は、投資助言・代理業に該当する可能性が高くなります:

  • 受講生のトレードに対して、売買ポイントやタイミングを具体的に助言する
  • トレード結果を踏まえて、改善策や今後の売買方針を個別に助言する
    これらは、受講生の投資判断に直接影響を与える行為とみなされるため、登録が必要となる可能性があります。

📘 補足情報
 講義形式や教材の内容によって判断が分かれるケースもあるため、事前に専門家へ相談することをおすすめします。
 当サイトでも、教育事業と投資助言業の境界に関する事例解説を掲載していますので、ぜひご参照ください。

Q15.同一人物が複数の職務を兼務する場合、どのような点に注意すべきですか?

A15. 兼務は可能ですが、それぞれの職務に必要な実務経験を個別に満たしていることが条件です。

✅ 兼務は制度上認められています

  • 投資助言・代理業では、同一人物が複数の役割を兼務すること自体は可能です
  • ただし、各職務に求められる実務経験を個別に満たしていることが前提となります

⚠ 実務経験が不足している場合の注意点

  • たとえば、ある人物がコンプライアンス担当者としての経験はあるが、内部監査担当者としての経験がない場合
    → 内部監査担当者としては認められません
  • また、「コンプライアンス担当者として1.5年、内部監査担当者として1.5年の経験があるので、合計3年だから兼務できるのでは?」というご質問もありますが、
    → このような合算は認められず、それぞれの職務で3年以上の経験が必要です

💡 実務経験が不足している場合の対応策

  • 外部の専門家(弁護士、行政書士など)からの支援を受けることで、兼務を認められる可能性があるケースもあります
  • ただし、この場合でも、社内体制としての実効性が問われるため、形式的な兼務ではなく、実務対応が可能な体制整備が必要です

📘 補足情報
 職務ごとの実務経験要件については、Q2でも詳しく解説しています。
 併せてご確認いただくことで、兼務の可否や体制構築の判断に役立つはずです。

Q16.投資助言・代理業に登録すると、どのような報告書をどの程度の頻度で提出する必要がありますか?

A16. 投資助言・代理業者は、定期・不定期の報告義務を含め、複数の書類を当局に提出する必要があります。

📅 定期的な報告義務

  • 事業報告書(年1回)
    投資助言・代理業者は、毎事業年度終了後、当期の業務状況や決算概要を記載した事業報告書を
    FIMOS(金融モニタリングシステム)を通じて提出する義務があります

📝 随時の届出義務(変更が生じた場合)
以下のような変更があった場合は、所定の期日内に届出が必要です:

  • 定款の変更
  • 役員の変更
  • 商号(社名)の変更
  • その他、登録事項に関する変更

📊 不定期の報告・アンケート対応

  • 年に数回程度、金融庁や財務局からアンケートや追加報告書の提出を求められることがあります
  • 内容は業務運営、顧客対応、リスク管理など多岐にわたります

✅ 日頃からの備えが重要

  • こうした報告義務に迅速かつ正確に対応するためには、
    社内の業務記録や財務データを常に整理・更新しておくことが不可欠です

📘 補足情報
 報告書の提出期限や様式は、FIMOS上で通知されることが多いため、定期的なログインと確認が推奨されます。

Q.17投資助言業の登録申請時に、サイバーセキュリティ体制の整備は必要ですか?

A17. 現時点では、登録申請書類に明示的なセキュリティ体制の記載義務はありませんが、顧客情報を扱う業態であるため、事前に一定の体制整備を進めておくことが強く推奨されます。特に、2025年施行の「サイバー対処能力強化法」や金融庁のガイドラインを踏まえると、将来的には審査項目に含まれる可能性があります。

✅ 投資助言業者に求められる主なサイバーセキュリティ対策は以下の通りです:

  • アクセス権限の管理とログ記録:誰が何にアクセスしたかを記録し、不正アクセスを防止。
  • 情報資産の棚卸と分類:顧客情報・契約書・業務記録などを整理し、重要度に応じた保護を実施。
  • 社内規程の整備:情報管理規程、インシデント対応計画などを文書化。
  • 教育・訓練の実施:従業員や外部委託先に対する定期的なセキュリティ研修。
    これらは、金融庁の「金融分野におけるサイバーセキュリティガイドライン」にも準拠しています。

📝 登録審査や将来的な立入検査に備え、以下のような書面を整備しておくと安心です:

  • 情報管理規程
  • インシデント対応計画書
  • サイバーセキュリティ基本方針
  • 教育・訓練実施記録
  • 外部委託先のセキュリティ確認書類
    これらは、制度改正にも柔軟に対応できる基盤となります。

📘 補足情報

 サイバーセキュリティ対策は、「コストがかかるだけでないか?」という疑問を持たれる方もいるかと思いますが、サイバーセキュリティ対策については、確かに初期投資が必要となりますが、情報漏洩や業務停止による損害を防ぐ「戦略的投資」と捉えるべきです。登録準備段階からの整備は、顧客や監督官庁からの信頼獲得にもつながります。

 詳しくサイバーセキュリティ対策について知りたい方は、当事務所のブログ記事「投資助言・代理業者に求められるサイバーセキュリティ対策」をご覧ください。

タイトルとURLをコピーしました