金融広告表現実務ガイド

 投資助言業やIFA事業において、広告・情報発信は単なる集客手段ではなく、金融商品取引法上の義務と直結する重要な業務領域です。金融商品取引法および金融庁の監督指針では、広告における誤認防止が強く求められており、実際に「広告表現」を理由とする行政処分や業務改善命令も少なくありません。

 とりわけ近年は、

  • Webサイト
  • LP
  • SNS(X・Instagram 等)
  • noteなどのコンテンツ配信

といった非典型的な広告媒体が拡大しており、「意図せず広告規制に抵触してしまう」ケースが実務上のリスクとして顕在化しています。

 本ページでは、金融商品取引業者(投資助言・代理業者、IFAを含む)が広告で使用すべきでない典型的な表現を、金融庁の考え方や実務運用を踏まえて整理し、実務で使いやすい代替表現とあわせて解説します。広告制作や情報発信の現場で「この表現は大丈夫か?」と迷った際の実務チェック用ガイドとしてご活用ください。

なぜ金融広告表現は問題になりやすいのか

 金融商品取引業における広告規制の本質は、「投資判断に影響を与える情報である以上、誤認を生じさせてはならない」という点にあります。

 金融庁の監督指針では、

  • 断定的判断の提供
  • 確実性や安全性を強調する表現
  • 事実と異なる又は誤解を招く表示

を特に問題視しており、意図の有無にかかわらず表現そのものが評価対象となります。そのため、「悪気はなかった」「一般論として書いた」という事情は、実務上ほとんど考慮されません。

NG表現一覧と代替案(表形式・6例)

 以下は、投資助言業・IFA事業の広告や情報発信において、実務上特に問題になりやすい表現例を整理したものです。
 単語単体ではなく、「文脈」「受け手の認識」を基準に判断される点に注意してください。

表現判断で実務上注意すべき3つの視点

 広告表現を検討する際は、次の3点を意識することが重要です。

① 単語ではなく「受け手の受け取り方」で判断する
「儲かる」「安心」などは、事実説明であっても誤認につながる可能性があります。

② 事実と評価を分けて記載する
事実(登録状況・提供内容)と評価(安心・有利)は明確に区別します。

③ 制作段階・公開前に必ず表現チェックを行う
Web・SNS・noteは即時公開されるため、事前チェックが不可欠です。

媒体別 広告表現チェックの考え方

 媒体ごとに広告該当性の判断は異なります。

  • Webサイト・LP:明確に広告と評価されやすい
  • SNS投稿:継続性・誘導性があると広告該当
  • note記事:教育目的でも勧誘性があれば広告扱い

 「広告ではないつもり」であっても、金融商品取引業者が発信する以上、広告規制は常に意識すべきです。

広告表現に関するQ&A(投資助言業・IFA事業向け)

 以下は、投資助言業・IFA事業者から実務上よく寄せられる広告表現に関する質問を整理したものです。

Q1.「必ず儲かる」という表現は、どのような理由で使ってはいけないのですか?
A1. 「必ず儲かる」という表現は、確実性の示唆に該当し、金融庁のガイドラインで明確に禁止されています。投資には元本割れや損失の可能性があるため、誤認を招く表現は行政処分の対象となる恐れがあります。

Q2.「元本保証」という言葉を使っても問題ないケースはありますか?
A2. 原則として、元本保証は投資助言業・IFA事業では使えません。仮に元本保証型の商品を紹介する場合でも、保証の主体・条件・リスクを明確に記載しない限り、誤認と判断される可能性があります。

Q3.「プロが運用します」という表現はIFAでも使えますか?
A3. IFAは運用者ではなく、仲介を行う立場です。「プロが運用」という表現は、IFAが直接資産運用を行うと誤認される恐れがあるため、不適切です。代わりに「登録された助言者が情報提供を行います」などの表現が望ましいです。

Q4.「初心者でも簡単に儲かる」という表現は使えますか?
A4. この表現は、過度な期待を煽るものであり、誤認の可能性が高いため避けるべきです。初心者向けの情報提供は可能ですが、「儲かる」「簡単」などの表現は慎重に扱う必要があります。

Q5.「安心・安全な投資」という表現はどこまで許容されますか?
A5. 「安心」「安全」といった抽象的な表現は、客観的根拠がない限り誤認を招く可能性があります。商品の特性やリスクを具体的に説明したうえで、読者の判断を尊重する表現にすることが重要です。

Q6.「金融庁登録済みだから安心」という表現は使っても問題ありませんか?
A6. 金融庁登録は法令遵守の前提であり、安全性を保証するものではありません。「登録済みだから安心」という表現は誤認を招くため、「登録業者として法令遵守に努めています」といった表現が適切です。

Q7. 提携している証券会社名を広告に記載してもよいですか?
A7. 記載自体は可能ですが、提携内容が不明確な場合は誤認を招く恐れがあります。「〇〇証券と業務委託契約を締結しています」など、契約形態や業務範囲を明示することが重要です。

Q8. SNSやnoteでの投稿も広告規制の対象になりますか?
A8. はい、広告とみなされる内容(勧誘性があるもの)は、媒体を問わず規制の対象になります。特にSNSは拡散力が高いため、表現には十分な注意が必要です。

Q9. 過去の運用実績を掲載する場合、どのような注意点がありますか?
A9. 実績を掲載する場合は、将来の成果を保証するものではない旨を明記する必要があります。また、出典や期間、計算方法などの根拠を明示することで、誤認リスクを下げられます。

Q10.「〇〇ランキング1位」といった表現は使えますか?
A10. ランキング表現は、出典・調査方法・対象期間などを明示すれば使用可能です。ただし、恣意的な順位や根拠不明のランキングは誤認を招くため避けるべきです。

参考資料・関連ページ

※ 本ページは、以下の一次資料・業界ガイドラインを踏まえて作成しています。

参考資料
金融庁「VII. 監督上の評価項目と諸手続(投資助言・代理業)」
日本証券業協会「広告等に関する指針 (PDF)」

関連ページ
金融商品取引業者に対する広告規制

タイトルとURLをコピーしました