記事概要
IFA事業者(金融商品仲介業)として活動するためには、証券会社との業務委託契約の締結と証券外務員資格の取得が必須。
本記事では、IFA事業の概要、証券外務員登録の流れ、そして資格更新研修のポイントを解説しまている。
IFAは特定の証券会社に属さず、中立的な立場で資産運用アドバイスを提供する。証券外務員登録には試験合格後の届出が必要で、資格維持のためには5年ごとの研修受講が義務付けられている。IFA事業の円滑な立ち上げには、証券外務員資格を持つ人材の確保と計画的な対応が重要。
本記事でわかること
– IFA事業者(金融商品仲介業)の仕組み
IFAの業務内容や、証券会社との関係性、独立した立場での資産運用アドバイスについて理解できる。
– 証券外務員登録の流れ
IFAとして活動するために必要な証券外務員資格の取得方法、登録手続き、および必要書類について学べる。
– 外務員資格の維持と更新研修の重要性
証券外務員資格を維持するために定期的に受講しなければならない更新研修の内容や、研修の進め方について詳しく知ることができる。
◇IFA事業者(金融商品仲介業)の概要
IFA事業者(金融商品仲介業者)は、第一種金融商品取引業または投資運用業を行う金融商品取引業者または登録金融機関の委託を受けて、金融商品仲介行為に該当する行為のいずれかを当該金融商品取引業者または登録金融機関のために行います。
IFAは、特定の証券会社に属さず、独立・中立的な立場で資産運用のアドバイスを行い、その業務は、取引の勧誘や仲介、申込の受付等に限定されるため、契約当事者とはなりません。
顧客はあくまでも委託者である証券会社等と契約することになり、顧客の口座は委託元の証券会社が管理します。
IFAとなるためには、まず、業務委託を希望する証券会社等と面談をし、その審査を受けこれに合格する必要があります。当該証券会社等との間に金融商品仲介業業務委託基本契約を締結し、次に、一定の登録拒否事由に該当しない場合、金融商品仲介業者として内閣総理大臣の登録を受けることができます。その後、証券会社を通し、日本証券業協会の外務員登録を受けることが必要となります。
◇証券外務員登録までの流れと外務員資格更新研修の概要
金融商品仲介業に登録してもIFA法人としてすぐに活動できるわけではありません。①日本証券業協会へ届出をし、自社の証券外務員試験合格者を証券外務員として登録する必要があります。外務員登録を維持するためには、登録後も②外務員資格更新研修を受ける必要があります。
①証券外務員として登録するまで
証券外務員として登録するためには、まず、証券外務員試験一種又は二種外務員試験に合格する必要があります。
次に、証券外務員試験合格者は、所属するIFA法人を通じ、当該IFA法人が金融商品仲介業業務委託基本契約を締結している証券会社を経由して日本証券業協会に外務員登録の届出を提出します。
外務員登録には、外務員登録申請書、外務員登録事項変更届出書、登録外務員の欠格事項該当届出書、登録外務員の職務廃止届出書、登録申請に係る外務員が金融商品取引法に規定された欠格要件のいずれにも該当しない者であることを当該外務員及び登録申請を行った会員が誓約する書面が必要になります。
②外務員資格更新研修の概要
証券外務員として登録した後も、証券外務員登録をした日から5年毎に外務員資格更新研修を受講する必要があります。なお、新たに証券外務員として登録を受けた方と再び証券外務員として登録を受けた方は、外務員資格更新研修を原則として180日以内に受講しなければなりません。
外務員資格更新研修は、所属している協会員(金融機関等)を通じて申込をが行われます。
研修時間は135分であり、この時間内に研修を修了する必要があります。研修内容としては、動画講義とそれに対するテストで構成されており、テストに合格することで次の講義に進むことができます。
このテストは、全体の7割以上の正解で合格となり、7割に満たない場合は、もう一度動画講義に戻って内容を確認してから、再度テストを受けることがきます。
全ての講義を受講し、テストに合格すると外務員資格更新研修は修了となります。
この研修の受講者の合格率は、2021年度で99.9%であるため、研修時間の時間配分にさえ気を付ければ外務員資格更新研修を無事修了することは難しくないようです。
◇IFA事業者(金融商品仲介業)を始めるための前提について
最後に、IFA事業者(金融商品仲介業)を始めるための前提について触れておきます。この前提をお話する前に、これまでの内容の復習を兼ねてIFA事業者(金融商品仲介業)登録から、証券外務員登録、そして外務員資格更新研修までの一連の流れをフローチャートの形でまとめてみました。
IFA事業者登録 → 証券外務員登録 → 外務員資格更新研修
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1. IFA事業者登録
├── 証券会社等と面談・審査を受ける
│ └── 合格
├── 金融商品仲介業業務委託基本契約を締結
├── 内閣総理大臣の登録を受ける
└── 証券会社経由で日本証券業協会の外務員登録
2. 証券外務員登録
├── 証券外務員試験(一種・二種)の合格
├── IFA法人を通じ日本証券業協会へ外務員登録申請
│ └── 必要書類の提出(登録申請書、欠格事項届出書等)
└── 外務員登録完了
3. 外務員資格更新研修(証券外務員登録後)
├── 登録から5年ごとに研修を受講
│ └── 新規・再登録の場合は180日以内
├── 135分の講義(動画+テスト)
│ ├── テストに合格(正答率70%以上)
│ └── 不合格の場合は再受講可能
└── 研修修了
このように、IFA事業(金融商品仲介業)を展開するうえで、証券外務員資格は不可欠な要素となります。特に、証券会社等との契約を締結するためには、まず自社に証券外務員試験の合格者が在籍していることが前提条件となります。
証券外務員試験に合格した人材が社内に一人もいない場合、IFA事業者としての登録・活動は原則として不可能です。そのため、IFA事業の立ち上げを検討する際には、適格な人材を確保することが重要となります。
具体的には、新たに証券外務員資格を保有する人材を採用するか、既存の社内メンバーに試験を受験・合格してもらう必要があります。IFA事業を円滑に開始するためにも、この点を十分に考慮し、計画的な対応を進めることをおすすめします。
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