SNSやブログで、自分の投資成績を公開している個人投資家をよく見かけるようになりました。
たとえば、
・「今月の投資成績は+12%でした」
・「今年の運用利益は〇〇万円です」
・「現在のポートフォリオを公開します」
といった投稿です。
こうした投稿は、自分の投資の記録を残すためだったり、投資のモチベーションを維持するためだったりと、自然な目的で行われていることが多いでしょう。
実際、「投資日記のような感覚で成績を公開している」という方も多いのではないでしょうか。
ただし、投資の情報発信には、初心者の方があまり意識していないいくつかの注意点があります。
多くの場合、問題になるのは悪意ではありません。
むしろ、
・自分の投資を記録しているだけ
・同じ投資をしている人と交流したい
・誰かの参考になればと思っている
といった自然な気持ちから始まることがほとんどです。
しかし、発信の仕方によっては、「自分の投資日記」と「人に投資をすすめている発信」の境目があいまいになることがあります。
そこでこの記事では、自分の投資成績をSNSやブログで共有する際に、初心者が知っておきたい基本的な注意点を、できるだけ専門用語を使わずに解説していきます。
本記事の概要
この記事のポイント
・投資成績をSNSで公開すること自体は、珍しいことではありません。
・ただし、銘柄の評価やおすすめの表現は、読む人には「投資のアドバイス」のように見えることがあります。
・投資成績を共有する際は、「自分の投資記録」と「人へのおすすめ」の違いを意識することが大切です。
本記事の想定読者
この記事は、次のような方を想定して書いています。
・SNSやブログで自分の投資成績を共有している個人投資家
・投資のモチベーション維持のために投資記録を公開している人
・これから投資の情報発信を始めようと考えている初心者
特に、金融や法律の知識がなくても理解できるように、専門用語をできるだけ使わずに解説しています。
投資成績の公開が増えている理由
最近は、SNSやブログで投資の話をする人が増えています。その中でも特に多いのが、投資成績の公開です。
投資成績を公開する理由としては、次のようなものがあります。
① 投資の記録になる
投資成績を定期的に公開すると、自分の投資を振り返る記録になります。
たとえば
・「今月の投資結果」
・「今年の運用状況」
・「現在のポートフォリオ」
などを公開しておくと、後から見返すことができます。
② 投資のモチベーションを維持できる
投資は長期的な取り組みになることが多いため、モチベーションを保つのが難しいこともあります。
SNSで投資成績を公開すると、
・定期的に振り返る習慣ができる
・他の投資家と交流できる
といったメリットがあります。
③ 同じ投資家と交流できる
投資成績を公開すると、同じ投資をしている人と交流が生まれることがあります。
たとえば
「私もこの銘柄を持っています」
「同じ投資方針ですね」
といったコメントがつくこともあります。
このように、投資成績の共有は決して珍しいことではありません。ただし、発信の仕方によっては、少し注意が必要な場合もあります。
意外とあいまいな「投資日記」と「投資アドバイス」の境目
多くの人は、次のような感覚で投資成績を公開しています。
「これは自分の投資日記」
「単なる経験の共有」
しかし、読み手から見ると、少し違って見えることがあります。
たとえば、次のような投稿を見たことはないでしょうか。
例①
「この銘柄はまだ上がりそうなので買い増ししました」
例②
「この会社は将来性があると思います」
例③
「長期投資ならかなり有望だと思います」
投稿している本人は、単なる感想のつもりかもしれません。
しかし、読む側からすると、「この人はこの銘柄をおすすめしているのかな?」
と感じることもあります。
つまり、自分では「投資日記」のつもりでも、読む人によっては「投資のアドバイス」のように見えることがあるという点が、投資の情報発信では意外と重要になります。
投資成績を共有するときに気をつけたい3つのポイント
では、投資成績を公開するときには、どのような点に気をつければよいのでしょうか。初心者の方が知っておきたいポイントを3つ紹介します。
①「自分の記録」と「人へのおすすめ」は違う
投資成績の公開でまず意識したいのは、自分の投資記録なのか、それとも人へのおすすめになっているのかという点です。
たとえば次のような投稿を考えてみましょう。
例①
「今月は+8%でした」
これは単なる投資成績の共有です。
一方で、
例②
「この銘柄はまだ上がると思います」
例③
「この銘柄はかなりおすすめです」
このような表現になると、読む人には投資のおすすめのように見えることがあります。
もちろん、本人はそのつもりがないことも多いでしょう。
しかし、投資の情報発信では、「どういう意図で書いたか」よりも「どう受け取られるか」が大切になることがあります。
② 銘柄の評価や将来予想は思った以上に影響力がある
投資成績を公開していると、自然と銘柄の話になることがあります。
たとえば、
・「この銘柄はかなり良いと思います」
・「この会社は将来有望だと思います」
・「この株はまだまだ上がると思います」
こうした発言は、何気なく書いていることが多いでしょう。
しかし、読む人によっては、「この人が言うなら買ってみようかな」と思うこともあります。
特に、
・フォロワーが増えてきた
・ブログの読者が増えてきた
という場合は、発信の影響が大きくなることがあります。
③ 投資成績の公開は「参考情報」として見られる
投資成績を公開していると、読む人はその情報を参考にすることがあります。
たとえば次のようなケースです。
例①
「この人のポートフォリオを真似してみよう」
例②
「この人が利益を出しているなら、この銘柄を買ってみよう」
例③
「この人が持っている銘柄をチェックしてみよう」
このように、投資成績の公開は、思った以上に参考情報として見られることがあります。
そのため、
・銘柄の評価
・将来予想
・おすすめのような表現
には、少し注意したほうがよい場合があります。
初心者の投資発信でよく見かけるパターン
投資初心者の情報発信では、次のような投稿をよく見かけます。
たとえば、「今月の投資成績は+10%でした。この銘柄はまだ上がると思うので、私はしばらく保有する予定です。」
このような投稿は、投資成績の共有+銘柄の評価という形になっています。
さらに次のような投稿もあります。「この会社はかなり有望だと思います。私は100万円分購入しました。」
このような投稿は、読む人によっては「この銘柄はおすすめなのかな」と受け取られることもあります。
もちろん、こうした投稿がすぐに問題になるわけではありません。
ただし、投資の情報発信では、「自分の投資日記」と「人に影響を与える情報発信」の境目を意識しておくことが大切です。
まとめ
自分の投資成績をSNSやブログで公開すること自体は、珍しいことではありません。
むしろ、
・投資の記録になる
・モチベーション維持につながる
・投資家同士の交流が生まれる
といったメリットもあります。
ただし、投資の情報発信では、「どのように書くか」がとても大切になります。
特に、
・銘柄の評価
・将来予想
・おすすめのような表現
には、少し注意しておくと安心です。
投資の情報発信には、今回紹介した内容以外にも、知っておいたほうがよいルールがあります。
今後の記事では、
・SNSで銘柄の感想を書くときの注意点
・フォロワーが増えてきた投資発信者の注意点
などについても、初心者向けにわかりやすく解説していきます。
よくある質問(Q&A)
Q1 自分の投資成績をSNSで公開すること自体は問題ないのでしょうか?
基本的に、自分の投資成績を公開すること自体が問題になるわけではありません。
実際に、SNSやブログでは
・今月の投資成績
・今年の運用状況
・ポートフォリオの公開
といった投稿をしている個人投資家は多くいます。
ただし、注意したいのは投稿の内容です。
単に投資の記録を共有しているだけであれば問題になることはほとんどありませんが、
・銘柄のおすすめ
・将来の値動きの予想
・特定の投資を強くすすめる発言
などが増えてくると、見る人によっては投資のアドバイスのように受け取られることがあります。
Q2 「私はこの銘柄を買いました」と書くだけなら問題ありませんか?
「私はこの銘柄を買いました」という投稿は、自分の投資行動の共有としてよく見られるものです。
たとえば、「今日は〇〇株を購入しました」といった投稿は、投資日記のような感覚で行っている人も多いでしょう。
ただし、
・「この銘柄はおすすめです」
・「この株はかなり上がると思います」
・「今のうちに買った方がいいです」
といった表現が加わると、読む人によっては投資をすすめているように見えることがあります。
そのため、投資成績の共有をする場合は、「自分の投資記録」と「人へのおすすめ」の違いを少し意識しておくと安心です。
Q3 自分のポートフォリオを公開するのは大丈夫ですか?
自分のポートフォリオ(保有している銘柄)を公開している個人投資家も多くいます。
たとえば、
・「現在のポートフォリオを公開します」
・「私の保有銘柄はこちらです」
といった投稿です。
このような情報共有も、投資記録の一部として行われていることが多いものです。
ただし、次のような投稿になると、読む人の受け取り方が変わることがあります。
例
「この銘柄はかなり有望なので、ポートフォリオの中心にしています」
このような表現になると、その銘柄をおすすめしているように見えることがあります。ポートフォリオを公開する場合でも、銘柄の評価やおすすめの表現には少し注意すると安心です。
Q4 フォロワーが少ない場合でも気をつけた方がよいのでしょうか?
フォロワーが少ない場合でも、発信内容にはある程度気をつけておく方が安心です。というのも、SNSでは投稿が思わぬ形で広がることがあります。
たとえば、
・他の人が投稿を共有する
・検索でブログ記事が見つかる
・投稿が拡散される
といったケースです。
最初は小さな発信でも、後から多くの人に見られる可能性があります。そのため、フォロワー数に関係なく、投資のおすすめのように見える表現には少し注意するという意識を持っておくと安心です。
Q5 投資の感想を書くことも避けた方がよいのでしょうか?
投資の感想を書くこと自体は、多くの個人投資家が行っています。
たとえば、
・「この会社の決算は良かったと思います」
・「長期投資の対象として注目しています」
といった投稿です。
こうした感想は、投資家同士の情報交換としてもよく見られるものです。
ただし、
・「この銘柄は絶対に上がる」
・「今すぐ買うべき」
といった強いおすすめの表現になると、読み手への影響が大きくなることがあります。
投資の感想を書く場合でも、断定的な表現や強いおすすめの言い方は避けるといった工夫をしておくと安心です。
Q6 投資の情報発信にはルールがあるのでしょうか?
投資の情報発信には、知っておいた方がよいルールがいくつかあります。
ただし、多くの個人投資家が行っている
・投資日記
・投資成績の共有
・投資の感想
といった発信が、すぐに問題になるわけではありません。
大切なのは、どのような形で情報を発信しているかという点です。
特に、
・銘柄のおすすめ
・将来の値動きの断定的な予想
・特定の投資を強くすすめる発言
などには、少し注意しておくと安心です。
投資の情報発信のルールについては、今後の記事でも初心者向けにわかりやすく解説していきます。
執筆者プロフィール
金融法務コンサルタント。元行政書士として、IFA登録や投資助言・代理業登録の支援実績多数。
現在は、ブログ・noteを通じて、金融ビジネスに関わる実務家向けに、制度解釈や実務上の注意点を中心とした情報発信を行っています。現在公開中の有料note記事は、金融法務note集で紹介していますので、ご興味のある方は、ご覧ください。
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参考資料・関連ページ
※ 本記事は、以下の一次資料・業界ガイドラインを踏まえて作成しています。
参考資料
・金融庁:投資運用業等 登録手続ガイドブック
・関東財務局:登録に係るQ&A(投資助言・代理業)
・一般社団法人日本投資顧問業協会ホームページ
・大和総研:SNS上にあふれる投資情報にどう対処すべきか
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