近年注目されているIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)事業に、会社員として働きながら副業・複業として参入することは可能なのでしょうか。本記事では、IFA事業の概要から参入の手順、現実的な課題、そして読者が検討すべきポイントについて解説します。
📝記事概要
IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)として副業・複業で活動することは可能なのか?本記事では、IFA事業の制度概要から参入手順、必要資格、そして副業としての現実的な課題までをわかりやすく解説します。会社員がIFAとして活動する際に直面するハードルや、IFA法人との業務委託・雇用の可能性、さらにIFA以外で金融知識を活かす副業の選択肢も紹介。IFAビジネスに関心のある方が、自身にとって現実的な道を見極めるための判断材料を提供します。
◇IFA事業者とは?
IFA事業者は、第一種金融商品取引業者や登録金融機関などから委託を受けて、金融商品仲介行為を行う存在です。特定の証券会社に属さず、独立・中立的な立場で資産運用のアドバイスを提供する点が特徴です。
業務内容は、取引の勧誘や仲介、申込の受付などに限定され、契約当事者にはなりません。顧客との契約は委託元の証券会社が行い、顧客の口座も証券会社が管理します。
IFAとして活動するには、証券会社との面談・審査を経て業務委託契約を締結し、内閣総理大臣の登録を受けたうえで、日本証券業協会の外務員登録を行う必要があります。
なお、IFAの仕事は「投資助言」ではなく「金融商品の販売」が主目的です。個人として投資経験があり、自己啓発のために証券外務員試験を受けて合格した方でも、営業経験がない場合はIFAとして活躍するのが難しいケースもあります。
金融商品に関する知識があり、かつ営業経験がある方にとっては魅力的な仕事ですが、販売に抵抗がある方や、投資助言に関心がある方は、IFA以外の道を模索することをおすすめします。
◇IFA事業を始めるための手順
IFA事業は以下のような手順で始めることができます。
- 証券会社と「金融商品仲介業務委託基本契約」を締結
- 金融庁への登録申請(必要書類の準備、専任管理者の配置など)
- 金融商品仲介業者として正式登録
ただし、近年は大手証券会社を中心に業務提携先の選定が厳格化されており、実務経験がない場合は業務委託契約の締結が困難な状況です。そのため、実務経験がない方は、より小規模な証券会社との契約を模索する必要があります。
◇副業・複業としてIFA事業に参入可能なのか?
副業・複業としてIFA事業に参入するには、以下のような参入要件を満たす必要があります。
・法人であること(※個人事業主と契約可能な証券会社も一部存在)
・社内に2名以上の専従の証券外務員(一種または二種)がいること
このように、法人設立や人員確保が必要となるため、会社員が事業主としてIFA事業に副業・複業で参入するのは、現実的には困難なケースが多いです。
以前、ご夫婦でIFA法人の開業を検討されていた方からご相談を受けたことがあります。その方も配偶者の方も金融機関での勤務経験があり、外務員試験に合格していました。このように、条件を満たしている方は限られており、一般的にはハードルが高いと言えるでしょう。
では、副業・複業としてIFAビジネスに携わるにはどうすればよいのでしょうか。現実的な方法としては、IFA法人に雇用される、または業務委託を受けて働くという選択肢があります。
ただし、この方法をとるには、証券外務員試験に合格していることが前提であり、加えて実務経験が求められることが多いです。さらに、本業との時間調整が必要となるため、両立は容易ではありません。
◇自分に向いているか?IFA副業の自己診断ポイント
IFA事業に副業として参入する前に、以下の点を確認してみましょう。
・証券外務員資格(一種または二種)を取得済み
・金融機関での営業経験がある、または営業活動に抵抗がない
・法人設立や専従人員の確保が可能、またはその見込みがある
・本業との時間調整が可能で、顧客対応に支障が出ない
これらの条件を満たしていない場合、副業としてのIFA参入は慎重な検討が必要です。
◇よくある誤解と注意点
IFAに関心を持つ方が抱きがちな誤解を以下に整理します。
・「IFAは投資助言が中心の仕事」→実際は金融商品の販売が主目的です
・「資格さえ取ればすぐ始められる」→証券会社との契約や金融庁への登録が必要です
・「副業でも気軽に始められる」→法人要件や専従人員など、実務的なハードルが高いです
◇IFA以外で金融知識を活かす副業の選択肢
IFA事業が難しい場合でも、金融知識を活かせる副業は他にもあります。
・投資教育コンテンツの作成(ブログやnoteなど)
・FP資格を活かしたライフプラン相談(非販売型)
・金融系ライターや監修業務(実務経験を活かした情報提供)
これらは、IFAほどの制度的ハードルがなく、柔軟に取り組める選択肢です。
◇よくある質問(Q&A)
Q1:証券外務員資格を持っていれば、すぐIFAとして活動できますか?
A1:資格取得は必須条件の一つですが、証券会社との業務委託契約や金融庁への登録が必要です。実務経験がない場合、契約が難しいこともあります。
Q2:個人事業主でもIFAになれますか?
A2:一部の証券会社では個人事業主との契約を認めていますが、法人化や専従人員の要件を求めるケースが多く、現実的には法人設立が前提となることが多いです。
Q3:副業としてIFAを始める場合、どのくらいの時間が必要ですか?
A3:顧客対応や営業活動には柔軟な時間確保が必要です。本業との両立には相当な調整力が求められます。
◇まとめ
ここまで解説してきたように、事業主としてIFA事業に参入する場合も、IFA法人に雇用されるまたは業務委託を受けて働く場合も、それぞれに難点があります。副業・複業としてIFA事業に参入するには、制度面・実務面でのハードルが高いのが現状です。
この分野に副業・複業として参入を考えている方は、ご自身の状況や目的に照らして、現実的な選択肢を見極めることが大切です。IFAが難しい場合でも、金融知識を活かす道は他にもあります。まずは、自分にとって最適な形を探るところから始めてみてください。
参考資料
・みずほ総合研究所株式会社「独立系フィナンシャルアドバイザー (IFA)に関する調査研究」
・一般社団法人「日本IFA協会事業紹介ページ」
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