X(旧Twitter)やnoteなどで、自分の投資成績や投資の考え方を発信している個人投資家は、ここ数年でかなり増えてきました。
最初は、
- 自分の投資の記録を残すため
- 投資のモチベーションを維持するため
- 同じような投資仲間と交流するため
といった理由で発信を始めた人が多いと思います。
そして、発信を続けていると、少しずつフォロワーが増えてくることがあります。
フォロワーが数十人、数百人と増えてくると、こんなことを感じたことはないでしょうか。
- この発信って問題ないのかな?
- おすすめ銘柄みたいに見えないだろうか?
- フォロワーが増えてきたけど、このまま続けて大丈夫?
実は、こうした不安を感じるのはとても自然なことです。
なぜなら、フォロワーが増えると、発信の「見え方」が少し変わってくるからです。
この記事では、投資の専門家ではない個人投資家として発信している人が、フォロワーが増えてきたときに気をつけておきたいポイントを、できるだけ分かりやすく解説します。
本記事の概要
この記事のポイント(3行まとめ)
・投資の発信は、フォロワーが増えると同じ投稿でも受け取られ方が変わることがある
・売買報告や銘柄の感想など、よくある投資発信でも少し注意したいポイントがある
・表現や発信スタンスを少し意識するだけで、安心して投資発信を続けやすくなる
本記事の想定読者
本記事は、次のような方を想定して書いています。
・SNSで投資成績や投資記録を発信している個人投資家
・投資のモチベーション維持のために投資の投稿をしている人
・フォロワーが少しずつ増えてきて「この発信は大丈夫なのかな?」と感じ始めている人
・投資の発信を続けたいが、ルールがよく分からず少し不安を感じている人
この記事を読むと分かること
・フォロワーが増えてくると投資発信の「見え方」が変わる理由
・投資発信者が知らないうちにやりがちな注意点
・投資発信を安心して続けるために意識しておきたいポイント
・投資の発信とルールの関係の基本的な考え方
投資発信は「フォロワーが増えると見え方が変わる」
投資の発信を始めたばかりの頃は、多くの場合、「自分の投資日記」のような感覚で投稿していると思います。
例えば、次のような投稿です。
よくある投資投稿の例
- 「今日は〇〇株を100株買いました」
- 「この会社、決算良さそうなので少し買ってみました」
- 「今月の投資成績は+12%でした」
フォロワーが10人くらいのときは、こうした投稿は単なる個人の投資メモのようなものです。
しかし、フォロワーが増えてくると、同じ投稿でも受け取られ方が変わることがあります。
例えば、次のようなケースです。
例
フォロワーが500人くらいいる投資アカウントが次のように投稿したとします。
「〇〇株を今日買いました。長期で期待しています。」
投稿した本人は、「自分の売買記録」のつもりかもしれません。
しかし、これを見たフォロワーの中には、
- この銘柄いいのかな
- 買いタイミングなのかな
- 真似して買ってみようかな
と考える人が出てくることもあります。
つまり、本人の意図とは関係なく「参考情報」として見られることがあるのです。
多くの投資発信者がやっている発信スタイル
ここで一度整理しておきたいのは、次のような発信は個人投資家の世界では珍しいものではないということです。
例えば、SNSでは次のような投稿をよく見かけます。
投資成績の公開
例
- 「今年の投資成績は+35%でした」
- 「今月の運用成績まとめ」
これは、自分の投資の振り返りや記録として投稿している人が多いです。
売買の記録
例
- 「今日〇〇株を買いました」
- 「〇〇株を利確しました」
投資日記として投稿している人も多いでしょう。
注目している銘柄の紹介
例
- 「最近気になっている銘柄」
- 「この会社の決算が気になっています」
こうした投稿も、投資コミュニティではよく見られるものです。
つまり、ここまでの話だけを見ると、どれもよくある投資発信と言えます。
ただし、フォロワーが増えてくると、少しだけ気をつけた方がいいポイントが出てきます。
フォロワーが増えてきた投資発信者が注意したい5つのポイント
ここでは、投資発信者が知らないうちにやりがちなポイントを紹介します。
①「おすすめ銘柄」に見えてしまう発信
例えば、次のような投稿です。
投稿例
「〇〇株を最近集めています。かなり期待しています。」
投稿した本人の気持ちは、
- 自分の投資メモ
- 自分の考えの共有
かもしれません。
しかし、フォロワーが多い場合、これを見た人が
- この銘柄おすすめなのかな
- 買った方がいいのかな
と受け取ることもあります。
特に、次のような表現は「おすすめ感」が強く見えることがあります。
例
- 「かなり期待しています」
- 「これは将来性があると思う」
- 「ここは仕込み時」
本人にそのつもりがなくても、おすすめ銘柄の紹介のように見えることがあるのです。
② 売買タイミングの投稿
次のような投稿もよく見かけます。
投稿例
- 「〇〇株を今日買いました」
- 「さっき〇〇株を売りました」
これは単なる売買記録ですが、フォロワーが増えると次のような反応が出ることがあります。
例
- 「真似して買いました」
- 「自分も今買いました」
すると、発信者としては少し不安になることがあります。
「自分の投稿が影響しているのでは…?」
と感じる人もいるでしょう。
③ 投資成績の公開
投資成績の公開も、投資発信ではよくあるスタイルです。
投稿例
「今年の投資成績+48%でした」
と投稿すると、多くの場合は
- すごい
- 参考になる
といった反応になります。
ただし、フォロワーが増えると、
- この人の投資を参考にしたい
- この人の銘柄を知りたい
という人が増えることもあります。
つまり、発信の影響力が少しずつ大きくなっていく可能性があります。
④ 発信が「アドバイス」に見える瞬間
投資発信をしている人の多くは、「自分の考えを書いているだけ」という感覚だと思います。
投稿例
「この業界はこれから伸びそうだと思っています」
これは単なる個人の意見です。
しかし、フォロワーの中には、
- 投資のアドバイス
- 投資のヒント
として受け取る人もいます。
発信者と読者の間で、受け取り方にズレが生まれることがあるのです。
⑤ フォロワーが増えたときに意識したいこと
では、フォロワーが増えてきた場合、どうすればよいのでしょうか。
難しいことをする必要はありません。例えば、次のようなことを意識するだけでも印象は変わります。
例
断定的な表現を少し柔らかくする
例
×
「この銘柄は上がると思う」
〇
「個人的には期待しています」
投資判断は自己責任という前提を書く
例
- 「あくまで個人の投資記録です」
- 「投資判断はご自身でお願いします」
このように、発信のスタンスを少しだけ明確にするだけでも安心して発信を続けやすくなります。
投資の発信には一定のルールがある
ここまで紹介してきたような発信の多くは、SNSではよく見られるものです。
ただし、投資の世界には一定のルールがあります。
例えば、次のようなケースです。
例
- 有料で銘柄情報を配信する
- 個別に投資アドバイスを行う
- 投資判断を具体的に指示する
このような活動になると、別のルールが関係してくる場合があります。
個人投資家として投資記録を発信しているだけなら問題になるケースは多くありませんが、フォロワーが増えてくると、「発信の影響力」について少しだけ意識しておくと安心です。
まとめ
投資の発信は、個人投資家の間ではとても一般的なものです。
自分の投資成績を記録したり、考えを共有したりすることで、投資のモチベーションを維持できる人も多いでしょう。
ただし、フォロワーが増えてくると、同じ発信でも「見え方」が少し変わることがあります。
そのため、
- 表現を少し柔らかくする
- 個人の投資記録であることを明確にする
といった点を意識しておくと、安心して発信を続けやすくなります。
投資発信は、うまく活用すれば投資仲間とつながる良いツールにもなります。
無理に難しく考える必要はありませんが、フォロワーが増えてきたときは少しだけ発信の見え方を意識してみるとよいかもしれません。
よくある疑問(Q&A)
ここでは、この記事を読んだ方からよく出る疑問について、分かりやすく解説します。
Q1 投資成績をSNSで公開すること自体は問題ないのでしょうか?
基本的には、自分の投資成績を公開すること自体が問題になるケースは多くありません。
実際、SNSでは
- 年間の投資成績
- 月ごとの運用結果
- ポートフォリオの推移
などを公開している個人投資家はたくさんいます。
ただし、フォロワーが増えてくると
- この人の投資を参考にしたい
- この人の銘柄を真似したい
と考える人が出てくることがあります。
そのため、投資成績を公開する場合でも、
- 「あくまで個人の投資記録」
- 「投資判断はご自身でお願いします」
といった前提を伝えておくと、安心して発信を続けやすくなります。
Q2 「この銘柄を買いました」と投稿するのは大丈夫ですか?
自分の売買記録として投稿すること自体は、SNSではよく見られるものです。
例えば次のような投稿です。
例
- 「今日〇〇株を100株買いました」
- 「〇〇株を利確しました」
このような投稿は、個人の投資日記として発信している人も多いでしょう。
ただし、フォロワーが増えてくると
- 「真似して買いました」
- 「参考にしました」
という反応が出てくることもあります。
そのため、
- 「自分の投資記録です」
- 「投資判断はご自身でお願いします」
など、発信のスタンスを少し明確にしておくと安心です。
Q3 「この銘柄は将来性があると思う」と書くのは問題ですか?
個人の意見として投稿すること自体は、SNSではよく見られるものです。
例えば
- 「この業界はこれから伸びそう」
- 「この会社は面白いと思っています」
といった投稿です。
ただし、次のような表現は、見る人によってはおすすめ銘柄の紹介のように感じることがあります。
例
- 「絶対に上がると思う」
- 「今が買い時」
- 「ここは仕込みどき」
フォロワーが増えてきた場合は、
- 「個人的には期待しています」
- 「自分はこう考えています」
など、個人の考えであることが伝わる表現を意識すると安心です。
Q4 「真似して買いました」と言われた場合はどうすればいいですか?
投資発信をしていると、
- 「参考にしました」
- 「真似して買いました」
と言われることがあります。
このような反応があると、「自分の発信が影響しているのでは…?」と不安に感じる人もいるかもしれません。
ただし、SNSでは多くの人が様々な情報を参考にして投資判断をしています。
そのため、
- 投資判断はご自身でお願いします
- あくまで個人の投資記録です
といった前提を普段から伝えておくことで、発信のスタンスを明確にしておくことが大切です。
Q5 フォロワーがどのくらい増えたら注意が必要なのでしょうか?
「フォロワーが何人以上になったら注意が必要」という明確な基準があるわけではありません。
ただし、一般的には次のような変化が出てくると、発信の影響力が少し大きくなっている可能性があります。
例えば
- 投稿に対する反応が増えてきた
- 投資について質問されることが増えた
- 「参考にしています」と言われることが増えた
このような状況になってきたら、
- 発信の表現を少しだけ丁寧にする
- 投資判断は自己責任であることを伝える
といった点を意識しておくと安心です。
Q6 投資の発信を続けても大丈夫なのでしょうか?
結論から言うと、多くの個人投資家はSNSで投資の発信を続けています。
投資の発信は、
- 自分の投資記録を残せる
- 投資仲間と交流できる
- 投資のモチベーションを維持できる
といったメリットもあります。
大切なのは、発信の「見え方」を少しだけ意識することです。
例えば
- 個人の投資記録であることを明確にする
- 断定的な表現を避ける
- 投資判断は自己責任であることを伝える
といった点を意識しておくことで、安心して発信を続けやすくなります。
Q7 投資の発信は違法になることはあるのでしょうか?
多くの個人投資家がSNSで投資の発信をしていますが、通常の投資記録や投資の感想を投稿しているだけで問題になるケースは多くありません。
例えば、次のような投稿です。
- 自分の投資成績の公開
- 売買記録の共有
- 気になっている銘柄の紹介
こうした発信は、SNSでは一般的に見られるものです。
ただし、次のようなケースになると、別のルールが関係してくる可能性があります。
例
- 有料で銘柄情報を配信する
- 個別に投資アドバイスをする
- 投資判断を具体的に指示する
このような活動になると、通常の投資発信とは少し意味合いが変わってきます。
そのため、個人投資家として発信する場合は、あくまで個人の投資記録や考えの共有であることを意識しておくと安心です。
Q8 投資の発信をする場合「これは投資アドバイスではありません」と書いた方がいいのでしょうか?
SNSでは、「これは投資助言ではありません」といった注意書きをしているアカウントを見かけることがあります。
ただし、個人投資家の発信の場合、必ずしもそのような表現を書かなければいけないというわけではありません。
それよりも大切なのは、
- 個人の投資記録であること
- 個人の意見であること
- 投資判断は自己責任であること
といった発信のスタンスを、普段の投稿の中で自然に伝えておくことです。
例えばプロフィール欄に「個人投資家の投資記録です」と書いておくだけでも、発信のスタンスが伝わりやすくなります。
Q9 SNSで銘柄の話をするのは問題ないのでしょうか?
SNSでは、特定の銘柄について話している投稿をよく見かけます。
例えば
- 「この会社の決算が気になります」
- 「最近この銘柄をチェックしています」
- 「この業界はこれから伸びそう」
といった投稿です。
このような投稿は、投資の感想や意見として発信している人も多いでしょう。
ただし、次のような表現は、見る人によっては「おすすめ銘柄」のように感じられることがあります。
例
- 「絶対上がると思う」
- 「今が買い時」
- 「ここは全力で買うべき」
フォロワーが増えてきた場合は、
- 個人の意見であること
- 自分の投資スタンスであること
が伝わる表現を意識すると安心です。
Q10 投資の発信をしているとフォロワーから質問が来ることがあります。答えても大丈夫でしょうか?
投資の発信をしていると、フォロワーから質問が来ることがあります。
例えば
- 「この銘柄どう思いますか?」
- 「今買いだと思いますか?」
- 「おすすめ銘柄ありますか?」
このような質問を受けたとき、困った経験がある人もいるかもしれません。
もし回答する場合は、
- 自分の投資スタンスを説明する
- 一般的な考え方を説明する
といった形で答える人も多いです。
一方で、「この銘柄を買った方がいい」のように具体的な投資判断をすすめる形の回答になると、発信の意味合いが変わってくる可能性があります。
そのため、回答するときは
- 個人の意見であること
- 投資判断は自己責任であること
を意識しておくと安心です。
Q11 投資発信のフォロワーが増えると何が変わるのでしょうか?
フォロワーが増えると、発信の内容が変わらなくても受け取られ方が変わることがあります。
例えば、フォロワーが少ないときは「個人の投資日記」として見られていた投稿が、フォロワーが増えると「参考になる投資情報」として見られることがあります。
その結果、
- 投資について質問される
- 銘柄について意見を求められる
- 「参考にしています」と言われる
といった変化が出てくることがあります。
こうした変化が出てきた場合は、
- 発信の表現を少し丁寧にする
- 投資判断は自己責任であることを伝える
といった点を意識しておくと安心です。
執筆者プロフィール
金融法務コンサルタント。元行政書士として、IFA登録や投資助言・代理業登録の支援実績多数。
現在は、ブログ・noteを通じて、金融ビジネスに関わる実務家向けに、制度解釈や実務上の注意点を中心とした情報発信を行っています。現在公開中の有料note記事は、金融法務note集で紹介していますので、ご興味のある方は、ご覧ください。
本サイトでは、可能な限り一次情報・実務視点に基づいた解説を行っていますが、個別事案については一般論だけでは判断が難しいケースも少なくありません。そのような場合に限り、筆者が提供している金融法務サポートにおいて、制度上の位置付け整理やリスクの考え方についての整理支援を行っています。
本サイトでは、投資情報発信、投資助言・代理業、IFAビジネスに関する法務・コンプライアンス情報を解説しています。
ただし、個別の事業形態や状況によっては、情報だけでは判断が難しいケースもあります。そのような場合の補足的な選択肢として、コレクト金融法務コンサルタント事務所では、個別整理を目的とした金融法務サポートを行っています。
参考資料・関連ページ
※ 本記事は、以下の一次資料・業界ガイドラインを踏まえて作成しています。
参考資料
・金融庁:投資運用業等 登録手続ガイドブック
・関東財務局:登録に係るQ&A(投資助言・代理業)
・一般社団法人日本投資顧問業協会ホームページ
・大和総研:SNS上にあふれる投資情報にどう対処すべきか
関連ページ
・【基礎編】投資情報発信はどこから「金融規制の対象」になるのか?― 個人発信者が最初に知っておくべき基本ルール
・【基礎編】SNSで投資経験に基づく話をしても大丈夫?個人発信者が誤解しやすい3つのポイント
・【基礎編】『無料でやっていればOK』は本当か?投資情報発信と金融規制の基本的な考え方

コメント