【基礎編】「この暗号資産は上がる」は大丈夫?暗号資産の情報発信で注意したい表現

【基礎編】投資情報発信と金融ルール

「この暗号資産はこれから上がると思います」

「今のうちに買っておくべきです」

「将来的には10倍になる可能性があります」

 暗号資産について情報発信をしていると、このような表現を使いたくなる場面があるかもしれません。

 特に、自分なりに暗号資産について調べ、「これは将来性がある」と感じた場合、その考えをSNSやブログ、YouTubeなどで多くの人に伝えたくなることもあるでしょう。

 しかし、投資に関する情報発信では、何を伝えるかだけでなく、どのような言葉で伝えるかも大切です。

 例えば、

「この暗号資産に注目しています」

という表現と、

「この暗号資産は絶対に上がります」

という表現では、受け取る側が感じる意味が大きく異なります。

 また、ある暗号資産について情報を紹介することと、「今すぐ買うべき」と強く購入を促すことも、同じ情報発信とはいえ、慎重に考える必要があります。

 暗号資産の価格は日々変動しており、将来の価格を確実に予測することはできません。

 そのため、

  • 「この暗号資産は上がる」
  • 「今買っておくべき」
  • 「○倍になる」
  • 「絶対に儲かる」
  • 「初心者におすすめ」
  • 「今が買い時」
  • 「この銘柄を持っておけば安心」

といった強い表現には、特に注意が必要です。

 この記事では、金融法務の知識がない投資情報発信初心者の方に向けて、暗号資産について発信するときに注意したい表現を分かりやすく解説します。

 また、単に「この言葉は使ってはいけない」と考えるのではなく、どのように言い換えれば、より慎重な情報発信につながるのかについても紹介します。

 なお、ここで紹介する内容は、特定の言葉を使えば必ず問題になる、あるいは別の言葉に置き換えれば必ず問題がない、というものではありません。

 情報発信では、投稿全体の内容や伝え方なども重要になります。

 まずは初心者の方が、読者に誤った期待や安心感を与えやすい表現を知ることから始めていきましょう。

  1. 本記事の概要
    1. この記事のポイント(3行まとめ)
    2. 本記事の想定読者
    3. この記事を読むと分かること
  2. 第1章 この記事で知っておきたいこと|「言葉の強さ」が読者の判断に影響する
    1. 投資情報を発信するときの基本的な考え方
  3. 第2章 「この暗号資産は上がる」はなぜ注意が必要なのか
    1. 将来の価格を断定しているように見えることがある
    2. 予想と事実を分けて考える
    3. より慎重な表現の例
  4. 第3章 「今買っておくべき」「今が買い時」はなぜ注意が必要なのか
    1. 投資するタイミングは人によって違う
    2. 読者を焦らせる表現にも注意
    3. より慎重な表現の例
  5. 第4章 「○倍になる」は予想なのか、それとも断定なのか
    1. 数字を使うこと自体が問題なのではない
    2. 数字を使うときに考えたいこと
    3. 表現の比較
  6. 第5章 「絶対に儲かる」「必ず上がる」が特に注意を要する理由
    1. 「利益が出る可能性」と「必ず利益が出る」は違う
    2. 特に注意したい言葉
  7. 第6章 「初心者におすすめ」も簡単には使えない
    1. 「初心者」という言葉で一括りにしない
    2. より慎重な表現の例
  8. 第7章 「この銘柄を持っておけば安心」という表現にも注意が必要な理由
    1. 「知名度が高い」と「安心」は同じではない
    2. より慎重な表現の例
  9. 第8章 危険になりやすい表現と慎重な表現の比較表
  10. 第9章 安全な言い換えの基本は「断定しない」ことだけでは不十分
    1. ① 自分の「予想」として伝える
    2. ② なぜそう考えるのかを伝える
    3. ③ 良い面だけでなく、リスクにも目を向ける
    4. ④ 最終的な判断を読者自身に委ねる
  11. 第10章 投稿する前に確認したい「表現チェック」5項目
  12. まとめ|「当たる予想」よりも「誤解を与えない伝え方」を意識しよう
    1. 次回は
  13. よくある質問(Q&A)
    1. Q1.「この暗号資産は上がると思う」と、自分の意見として書くことも避けた方がよいですか?
    2. Q2.「絶対に儲かる」と書かなければ、「儲かる可能性がある」と書いても大丈夫ですか?
    3. Q3.「今が買い時」と思った場合は、どのように発信すればよいですか?
    4. Q4.「○倍になる可能性がある」という表現なら使ってもよいですか?
    5. Q5.暗号資産について「おすすめ」と紹介すること自体が問題なのですか?
    6. Q6.自分が実際に購入している暗号資産を紹介してもよいですか?
    7. Q7.「これは私個人の意見です」と書いておけば安心ですか?
    8. Q8.投稿の最後に「投資は自己責任です」と書けば大丈夫ですか?
    9. Q9.価格が上がる理由を詳しく説明すれば、「上がる」と断定してもよいですか?
    10. Q10.初心者が暗号資産について発信するとき、最初に意識すべきことは何ですか?
  14. 執筆者プロフィール
  15. 参考資料・関連ページ

本記事の概要

この記事のポイント(3行まとめ)

  • 暗号資産の情報発信では、「絶対に儲かる」「必ず上がる」など、将来を断定する表現に注意が必要です。
  • 「今買うべき」「初心者におすすめ」などの表現も、読者の投資判断に強く影響する可能性があります。
  • 強く断定するのではなく、理由やリスクを伝え、読者自身が判断できる情報発信を意識することが大切です。

本記事の想定読者

 本記事は、次のような方を想定しています。

  • 暗号資産に関する情報発信を始めたばかりの方
  • Xやブログ、note、YouTubeなどで暗号資産について発信したい方
  • 金融法務に関する知識がなく、どのような表現に注意すべきか知りたい方
  • 「この暗号資産は上がる」「今が買い時」などの表現を使ってよいのか迷っている方
  • 読者に誤解を与えにくい、慎重な情報発信の方法を学びたい方

この記事を読むと分かること

 この記事を読むことで、次のようなことが分かります。

  • 「この暗号資産は上がる」といった表現に注意が必要な理由
  • 「今買っておくべき」「今が買い時」など、購入を強く促す表現の考え方
  • 「○倍になる」「絶対に儲かる」といった強い表現が読者に与える影響
  • 「初心者におすすめ」「持っておけば安心」といった表現を使う際に注意したいポイント
  • 危険になりやすい表現を、より慎重な表現に言い換えるための基本的な考え方
  • 投稿前に確認しておきたい、投資情報発信の表現チェックポイント

第1章 この記事で知っておきたいこと|「言葉の強さ」が読者の判断に影響する

 投資情報を発信するとき、発信者の言葉が読者の判断に影響することがあります。

 例えば、次の2つの表現を比べてみましょう。

「私は、この暗号資産の今後の動きに注目しています」

「この暗号資産は必ず上がります」

 どちらも、その暗号資産について前向きな考えを伝えています。

 しかし、受け取る側の印象は大きく異なります。

 前者は、発信者自身の考えや見方を伝える表現です。

 一方、後者は、将来の価格上昇が確実であるかのような印象を与える可能性があります。

 暗号資産の価格は、さまざまな要因によって変動します。

 どれだけ詳しく調べたとしても、将来の価格を確実に予測することはできません。

 そのため、情報発信をするときには、次のような点を意識することが大切です。

投資情報を発信するときの基本的な考え方

  • 自分の予想を、確実な事実のように伝えない
  • 読者に過度な期待を持たせない
  • 「絶対」「必ず」などの強い断定に注意する
  • 良い面だけでなく、リスクにも目を向ける
  • 最終的な判断は、読者自身が行うものだと考える

 ここで大切なのは、自分の考えを発信してはいけないということではありません。

 問題になりやすいのは、自分の予想や考えを、将来確実に起こることのように伝えたり、読者に特定の行動を強く促したりすることです。

 まずは、

「自分の意見を伝えること」と「読者の投資判断を強く促すこと」は同じではない

という点を意識しましょう。

第2章 「この暗号資産は上がる」はなぜ注意が必要なのか

 暗号資産について発信していると、

「この暗号資産は上がる」

と書きたくなることがあるかもしれません。

 しかし、この表現には注意が必要です。

将来の価格を断定しているように見えることがある

 「上がる」という言葉を強く使うと、読者によっては、

「この人は価格が上がることを確信している」

「買えば利益が出るのではないか」

と受け取る可能性があります。

 しかし、暗号資産の価格が将来どうなるかは、誰にも確実には分かりません。

 発信者自身が、

「いろいろ調べた結果、上がると思っている」

だけであったとしても、読者には「上がると断言している」と伝わってしまう場合があります。

予想と事実を分けて考える

 ここで意識したいのは、予想と事実を分けることです。

 例えば、

「この暗号資産は上がる」

という表現は、将来について強く断定しているように見えます。

 一方、

「私は、○○という理由から今後の価格動向に注目しています」

という表現は、発信者自身の考えであることが分かりやすくなります。

より慎重な表現の例

  • 「今後の価格動向に注目しています」
  • 「私は成長の可能性があると考えています」
  • 「○○という理由から、今後の動きに期待しています」
  • 「価格が上昇する可能性もありますが、下落する可能性もあります」

 大切なのは、単に「上がる」という言葉を別の言葉に置き換えることではありません。

 なぜそう考えているのかを伝え、将来が確実ではないことも意識することが重要です。

第3章 「今買っておくべき」「今が買い時」はなぜ注意が必要なのか

 次に注意したいのが、

「今買っておくべき」

「今が買い時」

といった表現です。

 これらの表現は、読者に対して、

「今すぐ買った方がよい」

という強いメッセージとして受け取られる可能性があります。

投資するタイミングは人によって違う

 同じ暗号資産であっても、投資するかどうかは人によって異なります。

 例えば、次のような違いがあります。

  • 投資に使えるお金がどのくらいあるか
  • どの程度の損失まで受け入れられるか
  • いつまで保有するつもりなのか
  • すでに他の投資をしているか
  • 生活に必要なお金を確保できているか

 そのため、発信者にとって「今が良いタイミング」だと感じられても、それがすべての人に当てはまるとは限りません。

読者を焦らせる表現にも注意

 例えば、

「今しかチャンスはない」

「今日買わないと乗り遅れる」

といった表現は、読者を焦らせる可能性があります。

 投資では、焦って判断することで、十分に調べないまま購入してしまうこともあります。

 情報を発信するときは、読者に必要以上の焦りを与えていないか、一度確認することが大切です。

より慎重な表現の例

  • 「現在の価格水準に注目しています」
  • 「私は○○という理由から、現在の動きを注視しています」
  • 「購入を検討する場合は、価格変動のリスクも確認しましょう」
  • 「投資するかどうかは、自分の状況に合わせて判断する必要があります」

第4章 「○倍になる」は予想なのか、それとも断定なのか

 暗号資産の情報発信では、

「この暗号資産は10倍になる」

「将来100倍も狙える」

といった表現を見かけることがあります。

 数字を使った表現は、非常に強い印象を与えます。

 特に、「10倍」「100倍」といった大きな数字は、読者に大きな利益を期待させる可能性があります。

数字を使うこと自体が問題なのではない

 ここで注意したいのは、数字を使って説明すること自体が悪いわけではないという点です。

 例えば、過去の価格推移や市場規模などを数字で説明することは、情報を分かりやすくするために役立ちます。

 ただし、将来について、

「10倍になる」

と断定する場合は、特に慎重になる必要があります。

 なぜなら、将来その結果になることを保証することはできないからです。

数字を使うときに考えたいこと

 将来の価格について数字を使う場合には、少なくとも次の点を意識しましょう。

  • その数字にはどのような考え方や根拠があるのか
  • あくまで予想なのか
  • 将来の結果が保証されるわけではないこと
  • 価格が反対に動く可能性もあること

表現の比較

注意が必要な表現

「この暗号資産は10倍になる」

より慎重な伝え方の例

「市場が大きく成長した場合、価格が上昇する可能性に注目する見方もあります。ただし、将来の価格を確実に予測することはできません。」

 重要なのは、大きな数字だけを強調して、読者の期待を必要以上に高めないことです。

第5章 「絶対に儲かる」「必ず上がる」が特に注意を要する理由

 次のような表現には、特に注意が必要です。

  • 「絶対に儲かる」
  • 「必ず上がる」
  • 「損することはない」
  • 「間違いなく成功する」
  • 「安心・安全」

これらの言葉には、将来の結果が確実であるという印象を与えやすい特徴があります。

 しかし、投資には価格が下がる可能性があります。

 暗号資産についても同様です。

「利益が出る可能性」と「必ず利益が出る」は違う

 例えば、

「価格が上昇すれば利益が出る可能性があります」

という説明と、

「絶対に儲かります」

という説明は、まったく異なります。

 前者は可能性について説明しています。

 一方、後者は利益が出ることを確実であるかのように伝えています。

 投資情報を発信するときには、この違いを意識することが重要です。

特に注意したい言葉

 次のような言葉を使っている場合は、一度立ち止まって確認してみましょう。

 もちろん、すべての場面でこれらの言葉を一切使ってはいけないという意味ではありません。

 ただし、投資の結果や将来の価格について使う場合には、特に慎重に考える必要があると覚えておきましょう。

第6章 「初心者におすすめ」も簡単には使えない

「この暗号資産は初心者におすすめです」

 このような表現は、一見すると親切な情報提供に見えるかもしれません。

 しかし、「初心者」といっても、すべての人が同じではありません。

 例えば、

  • 投資経験がまったくない人
  • 少額から始めたい人
  • 大きな値動きが苦手な人
  • 暗号資産についてすでに勉強している人

では、状況が異なります。

「初心者」という言葉で一括りにしない

 ある人にとって理解しやすい暗号資産であっても、別の人にとっては価格変動が大きすぎると感じるかもしれません。

 そのため、

「初心者なら誰にでもおすすめ」

というような伝え方には注意が必要です。

より慎重な表現の例

  • 「初心者が調べる候補の一つとして知られています」
  • 「比較的情報を集めやすい暗号資産の一つです」
  • 「初心者の方は、まず仕組みやリスクを理解することが大切です」
  • 「購入を検討する場合は、自分がどの程度の値動きを受け入れられるかを考えましょう」

 「おすすめ」という結論を先に伝えるよりも、読者が自分で判断するための情報を提供するという考え方を意識するとよいでしょう。

第7章 「この銘柄を持っておけば安心」という表現にも注意が必要な理由

 次に、

「この銘柄を持っておけば安心」

という表現について考えてみましょう。

 「安心」という言葉は、読者に、

「価格があまり下がらないのではないか」

「大きな心配は必要ないのではないか」

という印象を与える可能性があります。

 しかし、暗号資産には価格変動などのリスクがあります。

 知名度が高い暗号資産であっても、価格が下がらないとは限りません。

「知名度が高い」と「安心」は同じではない

 例えば、

「この暗号資産は知名度が高い」

という説明は、事実に基づいて説明できる場合があります。

 しかし、

「知名度が高いから安心」

となると、別の問題になります。

 知名度が高いことと、将来の価格が安定していることは同じではありません。

より慎重な表現の例

  • 「比較的知名度の高い暗号資産の一つです」
  • 「長期的な動きに注目する人もいます」
  • 「知名度が高くても、価格が変動するリスクがあります」
  • 「購入する場合は、値動きの大きさについても確認する必要があります」

 「安心」という言葉を使う前に、本当にリスクについて十分に説明できているかを考えることが大切です。

第8章 危険になりやすい表現と慎重な表現の比較表

 ここまで紹介した内容を、一覧にまとめます。

 投資情報を発信する前に、次のような表現を使っていないか確認してみましょう。

 ただし、ここで注意したいことがあります。

 表の左側の言葉をすべて別の言葉に置き換えれば、それだけで問題がなくなるわけではありません。

 例えば、「期待しています」という言葉を使っていても、投稿全体では「絶対に儲かる」という印象を与えている場合もあります。

 逆に、個別の言葉だけを見るのではなく、

  • 投稿全体で何を伝えているのか
  • 読者にどのような行動を促しているのか
  • リスクについても説明しているのか

といった点を考えることが大切です。

第9章 安全な言い換えの基本は「断定しない」ことだけでは不十分

 「絶対」「必ず」といった言葉を使わなければよい、と考えるだけでは十分ではありません。

 より慎重な情報発信を行うためには、いくつかの基本的な考え方があります。

① 自分の「予想」として伝える

 将来について話す場合は、それが事実なのか、自分の考えなのかを分かりやすくしましょう。

 例えば、

「この暗号資産は上がります」

ではなく、

「私は○○という理由から、今後の価格に注目しています」

と伝える方法があります。

 これにより、発信者自身の考えであることが分かりやすくなります。

② なぜそう考えるのかを伝える

 単に、

「この暗号資産は有望です」

と書くだけでは、読者はなぜそう考えているのか分かりません。

 そこで、

「開発が進められている点に注目しています」

「○○という利用方法が広がる可能性に注目しています」

など、自分が注目している理由を説明する方法があります。

 ただし、理由を書いたからといって、将来の価格が保証されるわけではありません。

 理由を示すことと、結果を保証することは別のものです。

③ 良い面だけでなく、リスクにも目を向ける

 投資情報を発信するとき、良い面だけを強調すると、読者がリスクを十分に理解できない可能性があります。

 例えば、

「利用が広がれば、価格が上昇する可能性があります」

と説明する場合には、

「一方で、市場環境の変化などによって価格が下落する可能性もあります」

という視点も重要です。

 すべてのリスクを長々と説明する必要はありません。

 しかし、良い可能性だけを伝えていないかは、一度確認してみましょう。

④ 最終的な判断を読者自身に委ねる

 投資するかどうかは、本来、一人ひとりの状況によって異なります。

 そのため、発信者が、

「あなたは絶対に買うべきです」

と決めるのではなく、

 読者が判断するために必要な情報を提供するという姿勢を意識することが大切です。

 例えば、

「購入を検討する場合は、価格変動のリスクについても確認しましょう」

「投資する金額や目的に合わせて判断することが大切です」

といった伝え方があります。

第10章 投稿する前に確認したい「表現チェック」5項目

 暗号資産についてSNSやブログなどで投稿する前に、次の5項目を確認してみましょう。

□ ① 「絶対」「必ず」など、結果を断定する言葉を使っていないか

将来の価格や利益について、確実であるかのような表現になっていないか確認しましょう。

□ ② 「今すぐ買うべき」と読者を強く急がせていないか

読者を焦らせるような表現になっていないか確認します。

□ ③ 良い可能性だけを強調していないか

価格が上がる可能性だけでなく、下がる可能性にも目を向けているか確認しましょう。

□ ④ 自分の予想を、確実な事実のように書いていないか

「私はこう考えている」という予想と、「将来こうなる」という断定を混同していないか確認します。

□ ⑤ 読者が自分で判断できる余地を残しているか

発信者が答えを決めるのではなく、読者が情報をもとに考えられる内容になっているか確認しましょう。

まとめ|「当たる予想」よりも「誤解を与えない伝え方」を意識しよう

 今回は、暗号資産について情報発信するときに注意したい表現について解説しました。

 特に、次のような表現には注意が必要です。

  • 「この暗号資産は上がる」
  • 「今買っておくべき」
  • 「○倍になる」
  • 「絶対に儲かる」
  • 「初心者におすすめ」
  • 「今が買い時」
  • 「この銘柄を持っておけば安心」

 これらの表現が常に同じように扱われるわけではありません。

 しかし、強い断定や過度な期待、誤った安心感につながる表現には、初心者のうちから注意する習慣を身につけることが大切です。

 暗号資産について発信するときは、

「上がる」と断言するのではなく、なぜ注目しているのかを伝える。

「買うべき」と決めつけるのではなく、判断するための情報を伝える。

このような姿勢を意識してみましょう。

 情報発信では、強い言葉を使うほど説得力が高まるとは限りません。

 むしろ、強すぎる言葉は、読者に誤った期待や安心感を与える可能性があります。

 投稿する前に、

「この表現を読んだ人は、どのように受け取るだろうか」

と一度立ち止まって考えることが大切です。

 暗号資産について正確な情報を集め、自分の考えと事実を分け、読者が自分自身で判断できるような情報発信を目指していきましょう。

次回は

 次回は、今回取り上げた「表現」の問題から、さらに一歩進めて考えてみましょう。

 暗号資産について情報を紹介することと、特定の暗号資産を「おすすめ」することには、どのような違いがあるのでしょうか。

 投資情報発信では、情報を伝えているつもりでも、その伝え方によっては、より慎重に考える必要がある場合があります。

 次回は、暗号資産を紹介するときに、情報提供と「おすすめ」の間にどのような違いがあるのかについて、投資情報発信初心者向けに分かりやすく解説します。

よくある質問(Q&A)

Q1.「この暗号資産は上がると思う」と、自分の意見として書くことも避けた方がよいですか?

 必ずしも、自分の考えや意見を発信してはいけないということではありません。

 ただし、「自分の意見だから何を書いても問題ない」と考えるのも注意が必要です。

 例えば、

「私は○○という理由から、今後の価格動向に注目しています」

というように、自分の考えであることを分かりやすく伝える方法があります。

 一方で、

「私は上がると思うので、みなさんも今すぐ買うべきです」

のように、読者に特定の行動を強く促す表現になると、より慎重に考える必要があります。

 自分の意見を発信するときも、予想を確実な事実のように伝えないことを意識しましょう。

Q2.「絶対に儲かる」と書かなければ、「儲かる可能性がある」と書いても大丈夫ですか?

 「可能性がある」という言葉を使えば、どのような場合でも問題がないというわけではありません。

 例えば、利益が出る可能性だけを強調し、価格が下がる可能性にはまったく触れていない場合、読者に一方的な期待を持たせることがあります。

 暗号資産について発信するときは、

  • 利益が出る可能性
  • 価格が下がる可能性
  • 将来の価格は確実には分からないこと

なども意識することが大切です。

 単に強い言葉を別の言葉に置き換えるのではなく、投稿全体として、読者にどのような印象を与えるかを考えることが重要です。

Q3.「今が買い時」と思った場合は、どのように発信すればよいですか?

 まず、自分がなぜ「今が買い時」だと考えているのかを整理してみましょう。

 例えば、

「○○という理由から、現在の価格水準に注目しています」

というように、自分が注目している理由を説明する方法があります。

 また、投資するタイミングは人によって異なります。

 発信者にとって良いタイミングだと感じられても、すべての読者にとって同じとは限りません。

 そのため、

「今すぐ買うべき」

と断定するのではなく、判断するための情報を伝えるという考え方を意識するとよいでしょう。

Q4.「○倍になる可能性がある」という表現なら使ってもよいですか?

 「可能性がある」という言葉を付ければ、それだけで問題がなくなるわけではありません。

 特に、

「この暗号資産は100倍になる可能性があります!」

と大きな数字だけを強調すると、読者に過度な期待を持たせる可能性があります。

 将来について数字を使って説明する場合は、

  • なぜそのように考えているのか
  • その数字が確実な予測ではないこと
  • 反対に価格が下がる可能性もあること

などを意識することが大切です。

 大きな数字で読者の期待を集めることだけを目的にした発信になっていないかを、一度確認してみましょう。

Q5.暗号資産について「おすすめ」と紹介すること自体が問題なのですか?

 「おすすめ」という言葉を使っただけで、すべての場合に同じような問題が起こるというわけではありません。

 ただし、投資に関する情報発信では、特定の暗号資産について、

「これはおすすめです」

「初心者はこれを買えば大丈夫です」

といった表現を使う場合には、特に慎重に考える必要があります。

 「おすすめ」という言葉は、読者に対して購入を勧めているように受け取られることがあるためです。

 まずは、

「情報を紹介すること」と「購入を勧めること」は同じではない

という点を意識しましょう。

 次回の記事では、この点についてさらに詳しく解説します。

Q6.自分が実際に購入している暗号資産を紹介してもよいですか?

 自分が実際に保有している暗号資産について、自分の経験として紹介すること自体が、直ちに問題になるというわけではありません。

 例えば、

「私は○○という理由から、この暗号資産を保有しています」

というように、自分自身の経験や考えを説明することはできます。

 ただし、

「私が買っているので、みなさんも買うべきです」

といった形で、読者の購入を強く促す表現になる場合には、より慎重に考える必要があります。

 また、自分が保有していることを紹介する場合には、自分がその暗号資産を持っているという事実を分かりやすく伝えることも、読者の誤解を防ぐうえで大切です。

Q7.「これは私個人の意見です」と書いておけば安心ですか?

 「これは私個人の意見です」という一文を付ければ、どのような発信でも問題がなくなるわけではありません。

 例えば、

「これは私個人の意見ですが、この暗号資産は絶対に上がるので、今すぐ買うべきです」

という内容であれば、「個人の意見」と書いていても、強い断定や購入を促す表現そのものがなくなるわけではありません。

 大切なのは、最後に注意書きを付けることだけではなく、投稿全体の内容や伝え方そのものを見直すことです。

Q8.投稿の最後に「投資は自己責任です」と書けば大丈夫ですか?

 「投資は自己責任です」という一文も、それだけですべての問題を防げるものではありません。

 例えば、本文で、

「絶対に儲かるので、今すぐ全額投資してください」

と強く読者に勧めた後に、

「投資は自己責任です」

と書いたとしても、本文の強い表現がなかったことになるわけではありません。

 注意書きを書くことよりも、まずは本文そのものが読者に過度な期待や誤った安心感を与えていないかを確認することが大切です。

Q9.価格が上がる理由を詳しく説明すれば、「上がる」と断定してもよいですか?

 理由や根拠を説明することは、情報発信において大切です。

 しかし、どれだけ自分なりの理由があったとしても、将来の価格を確実に予測できるわけではありません。

 そのため、

「○○という理由があるので、必ず上がります」

と断定するのではなく、

「○○という理由から、価格の動きに注目しています」

「このような理由から、上昇を期待する見方があります」

といったように、将来が確実ではないことを意識した伝え方を考えることが大切です。

 根拠があることと、結果が保証されることは別のものだと考えましょう。

Q10.初心者が暗号資産について発信するとき、最初に意識すべきことは何ですか?

 最初から完璧な表現を身につける必要はありません。

 まずは、投稿する前に、

「この文章を読んだ人は、どのように受け取るだろうか」

と一度考える習慣を身につけることが大切です。

 特に、次のような表現を使っていないか確認してみましょう。

  • 「絶対」
  • 「必ず」
  • 「確実」
  • 「今すぐ」
  • 「誰でも儲かる」
  • 「安心」
  • 「損をしない」

 そして、自分の予想と事実を分け、良い可能性だけでなくリスクにも目を向けることを意識しましょう。

 暗号資産について情報発信を続けるうえで大切なのは、強い言葉で読者を集めることだけではありません。

 読者に誤解を与えないよう、慎重に情報を伝える姿勢を身につけることが、長く情報発信を続けるための基本になります。

執筆者プロフィール

 金融法務コンサルタント。元行政書士として、IFA登録や投資助言・代理業登録の支援実績多数。
 現在は、ブログ・noteを通じて、金融ビジネスに関わる実務家向けに、制度解釈や実務上の注意点を中心とした情報発信を行っています。現在公開中の有料note記事は、金融法務note集で紹介していますので、ご興味のある方は、ご覧ください。

 本サイトでは、可能な限り一次情報・実務視点に基づいた解説を行っていますが、個別事案については一般論だけでは判断が難しいケースも少なくありません。そのような場合に限り、筆者が提供している金融法務サポートにおいて、制度上の位置付け整理やリスクの考え方についての整理支援を行っています。

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参考資料・関連ページ

※ 本記事は、以下の一次資料・業界ガイドラインを踏まえて作成しています。

参考資料
金融庁:「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案」説明資料
金融庁:「国会提出法案等」
衆議院:「第221回国会閣法第57号法律案等概要」

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