暗号資産について情報発信を続けていると、ある時こんな話が届くかもしれません。
「この暗号資産交換サービスを紹介してもらえませんか?」
「あなたのブログから申し込みがあったら報酬をお支払いします」
「YouTubeでサービスを紹介していただければ、成果に応じて報酬をお支払いします」
いわゆる「広告案件」や「アフィリエイト案件」です。
情報発信を収入につなげたいと考えている方にとって、こうした案件は魅力的に感じるかもしれません。
しかし、ここで一つ注意したいことがあります。
「自分の意見として暗号資産について話すこと」と、「報酬を受け取ってサービスを紹介すること」は、同じように見えても、少し考え方が変わります。
特に注意したいのが、
- 広告なのに広告だと分かりにくい見せ方になっていないか
- 報酬をもらっていることを隠して、自分が本当におすすめしているように見せていないか
- 広告主から渡された文章だから、そのまま使えば問題ないと思っていないか
といった点です。
しかも、広告案件はブログだけの話ではありません。
SNSの投稿、YouTube動画、動画の概要欄、ブログ記事など、さまざまな形で発生します。
そこで今回は、これまでのシリーズで取り上げてきた内容を踏まえながら、暗号資産に関する情報発信を始めたばかりの方に向けて、広告・アフィリエイト案件を受けるときに最低限知っておきたい基本を、できるだけ難しい言葉を使わずに解説します。
広告についての細かなルールを覚えることが、この記事の目的ではありません。
まずは、
「報酬をもらって紹介するときは、普段の情報発信とは少し違う」
ということを知っておきましょう。
- 本記事の概要
- 第1章 暗号資産の「広告・アフィリエイト案件」とは?
- 第2章 なぜ「広告案件」になると注意が必要なのか?
- 第3章 「広告であること」を分かりやすくするには?
- 第4章 報酬を受け取って紹介するときに注意したいこと
- 第5章 「自分がおすすめしている」ように見せるときの注意点
- 第6章 広告主から文章をもらったら、そのまま使っていい?
- 第7章 SNS・YouTube・ブログでは、何に気を付ければいい?
- 第8章 広告案件を受ける前に確認したい7つのこと
- 第9章 こんな広告案件には注意しよう
- 第10章 広告案件を受けるときに覚えておきたい基本
- まとめ|暗号資産の情報発信を「収益化」するときこそ、一度立ち止まる
- おわりに
- 暗号資産の広告・アフィリエイト案件に関するQ&A
- Q1.暗号資産の広告やアフィリエイトで報酬を受け取ること自体に問題はありますか?
- Q2.アフィリエイト広告には「PR」と書けば、それだけで大丈夫ですか?
- Q3.広告案件なのに、自分のSNSで「このサービスはおすすめです」と書いてもいいですか?
- Q4.広告主からもらった紹介文を、そのままブログに掲載するだけなら問題ありませんか?
- Q5.広告主から「この文章をそのまま使ってください」と言われた場合、自分で書き直してはいけませんか?
- Q6.実際に自分が使っていない暗号資産交換サービスでも、「使いやすいサービスです」と紹介していいですか?
- Q7.SNS、YouTube、ブログでは、広告案件の注意点は違いますか?
- Q8.広告案件なら、広告主から指定された内容に従って紹介すればいいですか?
- Q9.報酬が高い広告案件なら、積極的に受けた方がいいですか?
- Q10.広告案件の依頼内容がよく分からない場合は、どうすればいいですか?
- 執筆者プロフィール
- 参考資料・関連ページ
本記事の概要
この記事のポイント(3行まとめ)
- 暗号資産の広告・アフィリエイト案件は、通常の情報発信とは異なる注意が必要です。
- 「広告であること」の表示や、報酬を受け取って紹介するときの表現には気を付けましょう。
- 案件を受ける前に、広告主からの依頼内容や使用する文章などを確認することが大切です。
本記事の想定読者
本記事は、主に次のような方を想定しています。
- 暗号資産についてSNS・YouTube・ブログなどで情報発信を始めた方
- 暗号資産の情報発信で収益化を考えている方
- 暗号資産の広告・アフィリエイト案件に興味がある方
- 広告案件を受ける前に、最低限の注意点を知っておきたい方
- 金融法務について詳しくないものの、トラブルを避けながら情報発信を続けたい方
この記事を読むと分かること
この記事では、暗号資産の広告・アフィリエイト案件について、難しい法律用語をできるだけ使わず、情報発信を始めたばかりの方にも分かりやすく解説します。
具体的には、次のようなことが分かります。
- 暗号資産の広告・アフィリエイト案件とは何か
- なぜ広告案件では通常の情報発信より注意が必要なのか
- 「広告」「PR」など、広告であることを分かりやすくする方法
- 報酬を受け取って紹介するときに注意したいこと
- 「自分がおすすめしている」ように見える表現の注意点
- 広告主から提供された文章を使うときのポイント
- SNS・YouTube・ブログで情報発信するときの基本的な注意点
- 広告・アフィリエイト案件を受ける前に確認しておきたい事項
- 初心者が避けたい広告案件の例
第1章 暗号資産の「広告・アフィリエイト案件」とは?
まずは、「広告案件」や「アフィリエイト案件」とは何なのかを簡単に確認しておきましょう。
1-1.広告案件とは?
広告案件とは、企業などから依頼を受けて、その企業の商品やサービスを紹介するものです。
例えば、暗号資産に関する情報発信をしている人に対して、
「当社の暗号資産交換サービスを紹介してください」
という依頼が来るケースがあります。
その紹介によって、
- サービスを知ってもらう
- 公式サイトを見てもらう
- 口座開設をしてもらう
- キャンペーンに申し込んでもらう
などにつながると、発信者に報酬が支払われる場合があります。
1-2.アフィリエイトとは?
アフィリエイトは、簡単にいうと、自分のブログやSNSなどを通じて商品・サービスを紹介し、その紹介をきっかけとして一定の成果が発生すると報酬を受け取る仕組みです。
例えば、
「この暗号資産交換サービスはこちら」
というリンクをブログに掲載します。
そのリンクを読者がクリックして、決められた条件を満たすと報酬が発生する、といった仕組みです。
消費者庁も、アフィリエイト広告について、商品・サービスを紹介するサイトなどにリンクを掲載し、クリックや申し込みなどの条件を満たした場合に、紹介した人に報酬が支払われる仕組みとして説明しています。
1-3.広告案件にはいろいろな形がある
広告案件といっても、すべてが同じとは限りません。
例えば、次のようなものがあります。

このように、「広告=ブログに広告を貼るだけ」ではありません。
SNSやYouTubeなどでも広告案件は発生します。
1-4.まず確認したいのは「誰のサービスを紹介するのか」
暗号資産に関する案件を受けるときは、報酬額だけを見るのではなく、誰のサービスを紹介するのかを確認しましょう。
金融庁も、暗号資産を利用する際には、暗号資産交換業者が登録を受けた事業者か確認するよう案内しています。
そのため、
「報酬が高いから受けよう」
とすぐに決めるのではなく、
「この会社はどんな会社なのか?」
「このサービスは何なのか?」
と確認することが大切です。
第2章 なぜ「広告案件」になると注意が必要なのか?
ここが今回の記事で最も重要な部分です。
普段、自分のブログやSNSで暗号資産について発信しているときは、
「私はこう思います」
「このニュースについて解説します」
という形で、自分の考えや情報を発信していることが多いでしょう。
しかし、広告案件になると、
「企業から依頼を受けて、そのサービスを紹介している」
という関係が加わります。
この違いを意識することが大切です。
2-1.「情報発信」と「広告」は同じではない
例えば、次の2つを比べてみましょう。
ケースA
「最近、○○という暗号資産交換サービスについて調べてみました。」
これは、自分で調べた内容を紹介しているだけかもしれません。
一方、
ケースB
「今回は○○社から依頼を受けて、このサービスを紹介します。」
こちらは、広告として紹介していることが明確です。
読者から見ても、受け取る情報の意味が違います。
広告であることを知っている読者と、広告だと知らずに「この人が本当におすすめしている」と思っている読者では、情報の受け取り方が変わるからです。
2-2.「広告であること」を隠さない
広告であるにもかかわらず、普通の個人的な感想や口コミのように見せてしまうことは避ける必要があります。
消費者庁では、広告であることが分かりにくい「ステルスマーケティング」について、景品表示法の対象として扱っています。広告であることが分かるようにすることが重要です。
例えば、
「このサービス、本当におすすめです!」
という投稿だけを見た読者が、
「これはこの人自身が自由におすすめしているのだろう」
と思ってしまう可能性があります。
もし実際には企業から依頼され、報酬を受け取っているのであれば、その関係を分かりやすく伝えることが大切です。
第3章 「広告であること」を分かりやすくするには?
では、広告であることをどのように伝えればよいのでしょうか。
大切なのは、読者が見たときに「これは広告なんだ」と分かることです。
3-1.「広告」と分かる言葉を使う
例えば、
- 「広告」
- 「PR」
- 「プロモーション」
- 「広告案件」
- 「アフィリエイト広告を含みます」
などの表示が考えられます。
消費者庁も、「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」などの表示を、広告であることが分かる表示の例として挙げています。
ただし、単にどこかに小さく書けばよいというものではありません。
消費者庁は、アフィリエイトサイトの冒頭に表示を置く場合でも、文字の大きさや色などを含めて、消費者に広告であることが明瞭に伝わる必要があると説明しています。
3-2.ブログならどうする?
例えば、記事の冒頭で、
【広告】本記事は○○社から依頼を受けて作成しています。
あるいは、
【PR】本記事には○○社の広告が含まれています。
など、広告であることが分かる表示を置く方法があります。
ただし、ここで重要なのは、表示だけを置いて安心しないことです。
記事の本文でも、広告であることを忘れずに、誤解を招くような表現を避ける必要があります。
3-3.SNSならどうする?
SNSは文章が短いため、特に注意が必要です。
例えば、
「○○取引所、初心者にもおすすめです!」
だけでは、広告なのか個人的な感想なのか分かりません。
広告案件なら、
「【PR】今回は○○社から依頼を受けて、○○サービスを紹介します。」
など、広告であることが分かる形にすることを考えましょう。
3-4.YouTubeならどうする?
YouTubeでは、動画そのものを見ている人が広告であることを分かるようにすることが大切です。
例えば、
「今回は○○社から依頼を受けた広告案件です。」
と動画内で伝える方法があります。
概要欄にも広告であることを表示しておくとよいでしょう。
「概要欄に書いてあるから、動画では何も言わなくていい」
と考えるのではなく、視聴者が動画を見た段階で広告案件だと分かるようにすることを意識しましょう。
第4章 報酬を受け取って紹介するときに注意したいこと
ここで一つ、誤解しないでほしいことがあります。
広告案件で報酬を受け取ること自体が悪いわけではありません。
情報発信を仕事として行うのであれば、広告やアフィリエイトによって収益を得ることは一つの方法です。
問題になりやすいのは、
「報酬を受け取っていることを隠す」
「広告なのに個人的なおすすめのように見せる」
「報酬をもらうために、実際よりも良く見せる」
といった発信です。
4-1.「案件だから褒めなければいけない」と考えない
広告案件を受けると、
「せっかく依頼してもらったのだから、良いことを書かないといけない」
と思ってしまうかもしれません。
しかし、そこで無理にサービスを褒める必要はありません。
例えば、
「絶対におすすめです」
「誰でも簡単に稼げます」
「このサービスなら安心です」
など、自分では確認できないことまで断言するのは避けた方がよいでしょう。
4-2.自分が確認していないことを「自分の体験」のように書かない
例えば、広告主から、
「初心者でも簡単に使えます」
という文章を渡されたとします。
それを、
「私も実際に使ってみましたが、初心者でも簡単でした。」
と書き換えるのは問題があります。
実際に自分で使っていないのであれば、それは自分の体験ではないからです。
広告主からもらった情報と、自分自身が確認したことを分けて考える。
これだけでも、発信するときの意識はかなり変わります。
第5章 「自分がおすすめしている」ように見せるときの注意点
暗号資産の広告・アフィリエイトで特に注意したいのが、この部分です。
例えば、
「私は○○取引所をおすすめします。」
という文章。
これが単なる広告文なのか、それとも発信者自身の判断によるおすすめなのかで、読者が受ける印象は大きく変わります。
5-1.広告なのに「個人的なおすすめ」に見えていないか?
次の2つを比べてみましょう。
例1
【PR】○○社から依頼を受けて、○○サービスを紹介します。
例2
私が今一番おすすめしたい暗号資産交換サービスは○○です。
例2だけを見ると、企業から依頼された広告ではなく、発信者自身が純粋に選んだサービスのように見える可能性があります。
広告案件であるなら、広告であることと、自分自身の意見を混同させないことが大切です。
5-2.「おすすめ」という言葉を使うときは慎重に
「おすすめ」という言葉そのものが必ず問題になるわけではありません。
しかし、
「絶対おすすめ」
「初心者ならこれ一択」
「今すぐ登録した方がいい」
など、強い言葉を重ねると、読者に強く利用を促しているように見える可能性があります。
特に暗号資産は価格が変動する商品です。
「必ず儲かる」「絶対に上がる」といった表現を避けることは、これまでのシリーズでも説明してきました。
広告案件でも、この基本は変わりません。
第6章 広告主から文章をもらったら、そのまま使っていい?
広告案件を受けると、広告主から、
- サービス紹介文
- キャンペーン情報
- キャッチコピー
- SNS投稿用の文章
- 画像
- 注意事項
などが送られてくることがあります。
ここで、
「企業が作った文章だから、そのまま使えば安全だろう」
と考えるのは避けましょう。
6-1.まずは内容を確認する
例えば、広告主から、
「初心者でも簡単に暗号資産を始められます!」
という文章を渡されたとします。
そのまま掲載する前に、
- 本当にその内容でよいのか
- 現在もその条件なのか
- 「簡単」という表現で誤解されないか
- 自分の発信内容と矛盾していないか
などを確認しましょう。
6-2.「そのまま転載」と「自分の意見を加える」は違う
ここは暗号資産の広告案件では特に重要です。
金融庁は、アフィリエイト広告について、暗号資産交換業者から提供された商品案内などを単に転載するだけなら、基本的には暗号資産の売買などの「媒介」には当たらないと考えられる一方、その内容に加えてアフィリエイター自身の見解として商品などを推奨・説明する場合には、媒介に当たる可能性があるとしています。
難しく聞こえるかもしれません。
簡単にすると、
「企業からもらった説明文を掲載するだけ」と、「そこに自分のおすすめや評価を加える」ことは同じではない
ということです。
例えば、
広告主から提供された文章
「○○サービスでは、現在キャンペーンを実施しています。」
これを掲載するだけの場合と、
自分の文章を追加
「このキャンペーンは非常にお得なので、初心者の方にもおすすめです。」
とする場合では、意味が変わってきます。
そのため、広告案件では、「どこまでが広告主の説明で、どこからが自分の判断なのか」を意識しましょう。
第7章 SNS・YouTube・ブログでは、何に気を付ければいい?
広告案件を受ける場合、媒体によって注意するポイントが少し変わります。
ただし、基本は共通しています。
広告であることを分かりやすくする。
誤解を招く表現を避ける。
自分が確認していないことを自分の体験のように書かない。
この3つをまず覚えておきましょう。
7-1.SNSで注意したいこと
SNSでは文章が短いため、説明できる量が限られます。
そのため、
【PR】○○社から依頼を受けて紹介しています。
など、広告であることを最初から分かるようにすることを考えましょう。
また、
「絶対おすすめ」
「今すぐ登録」
「これだけやれば稼げる」
など、短い文章の中で強い言葉だけを使うと、読者に誤解を与えやすくなります。
7-2.YouTubeで注意したいこと
YouTubeでは、動画の内容そのものが広告になる場合があります。
そのため、
- 動画の中で広告案件であることを伝える
- 概要欄にも広告であることを表示する
- 広告主から提供された情報と自分の感想を分ける
- 実際に使っていないサービスを「使ってみた」と表現しない
- 強い断定表現を避ける
といった点を意識しましょう。
特に動画では、話しているうちに、
「このサービスはおすすめです」
「絶対に使った方がいいです」
といった言葉が自然に出てしまうことがあります。
案件動画では、撮影前に話す内容を確認しておくことをおすすめします。
7-3.ブログで注意したいこと
ブログではSNSや動画より多くの情報を書くことができます。
そのため、
- 記事の冒頭などで広告であることを表示する
- 広告主から提供された情報を確認する
- 自分の意見と広告主の説明を分ける
- 古いキャンペーン情報を掲載し続けない
- 「必ず儲かる」などの強い表現を使わない
といった点を確認しましょう。
特にブログは、記事を公開した後に長期間残ることがあります。
広告案件が終了した後も、
「期間限定キャンペーン実施中!」
と書かれたままになっていると、読者に誤った情報を伝えてしまいます。
そのため、広告記事は公開後も確認することが大切です。
第8章 広告案件を受ける前に確認したい7つのこと
ここまでの内容を、実際に案件を受ける前のチェック項目として整理してみましょう。
① 誰から依頼された案件なのか?
まず、
「この案件は誰から来たのか?」
を確認しましょう。
企業から直接依頼されたのか、ASPを通じたものなのかなど、依頼の経路を確認します。
② 何を紹介する案件なのか?
次に、
「何を紹介するのか?」
を確認します。
暗号資産そのものなのか、暗号資産交換サービスなのか、ウォレットなのか、それ以外のサービスなのか。
ここを曖昧にしたまま受けないようにしましょう。
③ 報酬はどのように発生するのか?
例えば、
- 投稿するだけで報酬が発生する
- リンクがクリックされると報酬が発生する
- 口座開設で報酬が発生する
- 取引など一定の条件で報酬が発生する
など、案件によって違います。
「何をすると報酬が発生するのか」を確認しておきましょう。
④ 広告であることをどう表示するのか?
案件を受ける前に、
「広告であることをどこに、どのように表示するのか?」
を決めておくと安心です。
広告主から、
「広告という表示は付けないでください」
などと言われた場合は、特に注意が必要です。
広告であることを隠すような依頼を、そのまま受けないことも大切です。
⑤ 広告主から提供された文章をどう使うのか?
広告主から、
「この文章をそのまま使ってください」
と言われることがあります。
その場合も、
「自分で確認していない内容まで、自分の意見として書くことにならないか?」
を確認しましょう。
⑥ 自分の意見やおすすめを加えてよいのか?
ここは特に重要です。
例えば、
「このサービスは○○という特徴があります。」
という説明と、
「私はこのサービスをおすすめします。」
という文章では意味が違います。
後者のように自分の評価や推奨を加える場合は、暗号資産の広告案件では特に慎重に考える必要があります。金融庁も、アフィリエイト広告において独自の見解として商品などを推奨・説明する場合には、暗号資産の売買等の媒介に当たることがあり得るとしています。
「ただ広告を掲載するだけのつもりだったのに、内容を工夫しておすすめした結果、話が変わっていた」ということがないようにしましょう。
⑦ 問題が起きたとき、誰が対応するのか?
最後に、
「何か問題が起きた場合、誰が対応するのか?」
も確認しておきましょう。
例えば、
- サービス内容について問い合わせが来た場合
- キャンペーン内容が変更された場合
- 広告を停止する必要が生じた場合
- 誤った情報を掲載していたことが分かった場合
などです。
「掲載して終わり」ではなく、公開後の対応についても確認しておくと安心です。
第9章 こんな広告案件には注意しよう
最後に、初心者が遭遇したときに注意したいケースをいくつか見てみましょう。

こうした案件について、
「報酬が高いから受けよう」
とすぐに判断するのではなく、
「この依頼内容で、自分の発信として公開して大丈夫だろうか?」
と一度立ち止まって考えることが大切です。
第10章 広告案件を受けるときに覚えておきたい基本
ここまでの内容を、できるだけ簡単にまとめてみましょう。
暗号資産について発信していると、広告やアフィリエイトによって収益化できる機会が出てくるかもしれません。
これは、情報発信を仕事として続けていくうえで、一つの選択肢です。
しかし、
「報酬を受け取るようになったら、普段の情報発信とまったく同じ感覚では考えない」
ことが大切です。
特に意識したいのは、次の5つです。
① 広告であることを分かりやすくする
読者に、
「これは広告なんだ」
と分かってもらえるようにします。
② 報酬をもらっていることを隠さない
報酬を受け取って紹介しているのであれば、その関係を意識して発信します。
③ 自分のおすすめと広告主の説明を混同しない
広告主から提供された情報なのか、自分自身の意見なのかを整理します。
④ 強い表現を安易に使わない
「絶対」「必ず」「誰でも」「確実」などの言葉を使って、サービスを必要以上に良く見せないようにします。
これは、これまでのシリーズで説明してきた「上がる・儲かる」といった表現への注意ともつながります。
⑤ 分からない案件は、すぐに受けない
これが一番大切かもしれません。
広告案件の話が来たとき、
「よく分からないけれど、報酬がもらえるから受けよう」
と考えるのではなく、
「何を紹介する案件なのか?」
「広告であることをどう表示するのか?」
「自分の意見を加えてよいのか?」
「このサービスを紹介して大丈夫なのか?」
を確認しましょう。
まとめ|暗号資産の情報発信を「収益化」するときこそ、一度立ち止まる
暗号資産について情報発信を続けていると、やがて広告やアフィリエイトの依頼が来ることがあります。
情報発信を収益につなげること自体は、決して悪いことではありません。
ただし、広告案件を受ける場合には、普段の情報発信とは少し違う視点が必要になります。
今回の記事で覚えておきたいポイントは、次のとおりです。

そして、暗号資産の広告案件では、もう一つ覚えておきたいことがあります。
「単なる広告の掲載」と「自分自身の判断でサービスをおすすめすること」は、同じではありません。
金融庁は、暗号資産のアフィリエイト広告について、広告主から提供された商品案内などの単なる転載であれば、基本的には暗号資産の売買等の媒介には当たらないと考えられる一方、そこにアフィリエイター自身の見解として推奨・説明を加える場合には、媒介に当たる可能性があるとしています。
そのため、
「広告を掲載するだけのつもりだったのに、自分の言葉で強くおすすめしていた」
という状態にならないよう注意しましょう。
また、暗号資産交換業者については登録が必要とされているため、紹介するサービスについて確認することも重要です。
暗号資産の情報発信を収益化するときに大切なのは、難しい法律をすべて覚えることではありません。
まずは、
「これは広告なのか?」
「報酬を受け取っていることが読者に分かるか?」
「これは広告主の説明なのか、それとも自分のおすすめなのか?」
「この案件を受ける前に、確認しておくことはないか?」
と、一度立ち止まって考えることです。
情報発信を長く続けていくのであれば、「収益になる案件を見つけること」だけでなく、「安心して紹介できる案件を選ぶこと」も大切な仕事になります。
おわりに
今回の第5回では、暗号資産に関する情報発信を「収益化」するときに知っておきたい基本を解説しました。
第1回からここまで、
暗号資産を知る
↓
発信するときの基本を知る
↓
注意したい表現を知る
↓
SNS・ブログ・YouTubeでの発信方法を知る
↓
広告・アフィリエイトで収益化するときの注意点を知る
という形で、少しずつ実際の情報発信に近い内容へ進んできました。
しかし、実際に情報発信を続けていると、
「広告案件以外にも、投資情報を有料で販売したくなった」
「有料noteで銘柄について解説したい」
「投資スクールやオンラインサロンを運営したい」
といった場面も出てくるかもしれません。
こうした場合には、単なる広告とはまた違った注意が必要になります。
「情報を発信すること」と「投資について具体的な助言をすること」の境目はどこにあるのでしょうか。
次回以降は、こうした「情報発信を続けるうちに出てくる、もう一歩踏み込んだケース」についても、初心者の方が理解しやすいように解説していきます。
暗号資産の広告・アフィリエイト案件に関するQ&A
Q1.暗号資産の広告やアフィリエイトで報酬を受け取ること自体に問題はありますか?
A.報酬を受け取ること自体が、直ちに問題になるわけではありません。
暗号資産に関する情報発信を収益化する方法の一つとして、広告やアフィリエイトを利用することは考えられます。
ただし、報酬を受け取ってサービスを紹介するのであれば、
- 広告であることを分かりやすくする
- 報酬を受け取っていることを隠さない
- 読者に誤解を与えるような表現を避ける
- 紹介するサービスについて確認する
といったことが大切です。
「報酬を受け取ることが問題なのではなく、どのように紹介するかが重要」と考えると分かりやすいでしょう。
Q2.アフィリエイト広告には「PR」と書けば、それだけで大丈夫ですか?
A.「PR」と書けば何をしてもよい、というわけではありません。
「PR」などの表示によって、広告であることを読者に分かりやすくすることは大切です。
しかし、それだけで記事や動画の内容まで問題がなくなるわけではありません。
例えば、
「絶対に儲かる」
「誰でも簡単に稼げる」
「このサービスなら必ず利益が出る」
など、読者に誤解を与えるような表現を使えば、別の問題が生じる可能性があります。
そのため、
「広告であることを表示する」ことと、「広告の内容を適切にする」ことは別々に考える
ようにしましょう。
Q3.広告案件なのに、自分のSNSで「このサービスはおすすめです」と書いてもいいですか?
A.「おすすめ」という言葉を使うこと自体だけで判断するのではなく、広告であることや、その言葉がどのような意味で使われているかを考える必要があります。
例えば、
「【PR】今回は○○社から依頼を受けて、○○サービスを紹介します。」
という形で広告であることを明らかにしたうえで、確認した事実を説明する場合と、
「私が一番おすすめするサービスです。初心者ならこれを使うべきです。」
と、自分自身の強い推奨として紹介する場合では、読者に与える印象が大きく違います。
特に暗号資産のアフィリエイトでは、単なる広告文の掲載と、自分自身の判断でサービスを推奨・説明することでは、扱いが変わる可能性があります。
そのため、「広告主から依頼された紹介」と「自分自身のおすすめ」を混同しないことが大切です。
Q4.広告主からもらった紹介文を、そのままブログに掲載するだけなら問題ありませんか?
A.「広告主からもらった文章だから大丈夫」と決めつけないようにしましょう。
広告主から提供された文章であっても、掲載する前に内容を確認することが大切です。
例えば、
- 現在もその内容が正しいか
- キャンペーン期間が過ぎていないか
- 読者に誤解を与える表現がないか
- 自分のサイトやSNSの内容と矛盾していないか
などを確認します。
また、提供された文章に自分の意見を加える場合には、単なる文章の掲載とは意味が変わってくる可能性があります。
「広告主から提供された情報」と「自分自身の意見」を分けて考えることを意識しましょう。
Q5.広告主から「この文章をそのまま使ってください」と言われた場合、自分で書き直してはいけませんか?
A.書き直すこと自体が問題なのではありませんが、書き直した内容には注意が必要です。
例えば、広告主から、
「○○サービスでは初心者向けのキャンペーンを実施しています。」
という文章を受け取ったとします。
これを自分の言葉にして、
「初心者でも簡単に始められる、おすすめのサービスです。」
と書き換えると、単なるサービスの説明ではなく、自分自身の評価を加えた文章になります。
特に「おすすめ」「安心」「簡単」「お得」などの言葉を追加するときは、その根拠があるのか、自分が本当に確認した内容なのかを考えるようにしましょう。
Q6.実際に自分が使っていない暗号資産交換サービスでも、「使いやすいサービスです」と紹介していいですか?
A.自分が実際に使っていないのであれば、自分の体験のように表現するのは避けた方がよいでしょう。
例えば、
「実際に使ってみましたが、とても使いやすかったです。」
という文章は、自分が利用した経験を伝えているように見えます。
実際には使っていないのであれば、このような書き方はできません。
広告主から提供された情報を紹介するのであれば、
「広告主によると、○○という特徴があります。」
など、情報の出所が分かる形にすることを考えましょう。
「知っている情報」と「自分が実際に経験したこと」を混同しないことが重要です。
Q7.SNS、YouTube、ブログでは、広告案件の注意点は違いますか?
A.基本的な考え方は共通していますが、媒体によって注意するポイントは変わります。
例えば、次のように考えると分かりやすいでしょう。

どの媒体でも、
「これは広告なのか?」と読者が迷わないようにする
ことを基本として考えましょう。
Q8.広告案件なら、広告主から指定された内容に従って紹介すればいいですか?
A.広告主から指定された内容でも、自分で確認することが大切です。
広告主から、
「この文章を使ってください」
「この画像を掲載してください」
「この内容を動画で説明してください」
などと依頼されることがあります。
しかし、実際に自分のSNSやブログ、YouTubeで公開するのは発信者自身です。
そのため、
「広告主から言われたから、そのまま掲載した」
ではなく、
「この内容を自分の発信として公開して大丈夫か?」
という視点を持ちましょう。
特に、自分が確認していないことを断定したり、実際には経験していないことを体験談のように書いたりすることは避けるべきです。
Q9.報酬が高い広告案件なら、積極的に受けた方がいいですか?
A.報酬額だけで案件を選ばないことをおすすめします。
広告案件を受けるときには、
- どの会社・サービスなのか
- 何を紹介するのか
- どのような条件で報酬が発生するのか
- 広告であることをどう表示するのか
- どのような文章を使うのか
- 自分の意見を加えてよいのか
などを確認しましょう。
特に暗号資産については、紹介するサービスそのものについて確認することも重要です。
「報酬が高いから受ける」のではなく、「自分が責任を持って紹介できる案件か」という視点で判断することが大切です。
Q10.広告案件の依頼内容がよく分からない場合は、どうすればいいですか?
A.分からないまま、すぐに案件を受けないことが大切です。
例えば、
「この文章をそのまま投稿してください」
「広告とは書かずに紹介してください」
「あなた自身のおすすめとして紹介してください」
など、少しでも気になる依頼があれば、具体的な内容を確認しましょう。
確認してもよく分からない場合は、無理に受ける必要はありません。
特に投資情報発信を始めたばかりの段階では、
「案件を受けること」よりも「安心して情報発信を続けられること」
を優先した方がよいでしょう。
分からない案件を無理に受けないことも、長く情報発信を続けるための大切な判断です。
執筆者プロフィール
金融法務コンサルタント。元行政書士として、IFA登録や投資助言・代理業登録の支援実績多数。
現在は、ブログ・noteを通じて、金融ビジネスに関わる実務家向けに、制度解釈や実務上の注意点を中心とした情報発信を行っています。現在公開中の有料note記事は、金融法務note集で紹介していますので、ご興味のある方は、ご覧ください。
本サイトでは、可能な限り一次情報・実務視点に基づいた解説を行っていますが、個別事案については一般論だけでは判断が難しいケースも少なくありません。そのような場合に限り、筆者が提供している金融法務サポートにおいて、制度上の位置付け整理やリスクの考え方についての整理支援を行っています。
本サイトでは、投資情報発信、投資助言・代理業、IFAビジネスに関する法務・コンプライアンス情報を解説しています。
ただし、個別の事業形態や状況によっては、情報だけでは判断が難しいケースもあります。そのような場合の補足的な選択肢として、コレクト金融法務コンサルタント事務所では、個別整理を目的とした金融法務サポートを行っています。
参考資料・関連ページ
※ 本記事は、以下の一次資料・業界ガイドラインを踏まえて作成しています。
参考資料
・金融庁:「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案」説明資料
・金融庁:「国会提出法案等」
・衆議院:「第221回国会閣法第57号法律案等概要」
関連ページ
・投資情報発信入門
・【解説】暗号資産に関する助言を行う際の注意点
・【解説】暗号資産の金融商品取引法への枠組み移行の方針が暗号資産への投資助言に与える影響
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