「ビットコインについて発信してみたい」
「暗号資産のニュースをSNSで紹介したい」
「YouTubeやブログで暗号資産について解説してみたい」
投資情報発信を始めたばかりの方の中には、こうしたことを考えている方もいるのではないでしょうか。
そんな方に、ぜひ知っておいていただきたいのが、暗号資産を取り巻くルールが大きく変わろうとしていることです。
2026年7月15日、暗号資産に関する新しいルールを含む「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律」が成立しました。
今回の改正では、暗号資産の取引について、これまでの「資金決済に関する法律(資金決済法)」を中心としたルールから、「金融商品取引法」のルールへ移すことが予定されています。
金融庁の説明資料では、暗号資産について、株式などの「有価証券」とは別の金融商品として位置付けるとされています。
「金融商品」と聞くと、少し難しく感じるかもしれません。
しかし、投資情報発信を始めたばかりの方が、最初から法律の細かな条文まで理解する必要はありません。
まずは、
「暗号資産も、これまで以上に投資商品としてのルールが意識されるようになる」
と考えておけば大丈夫です。
そして、この変化は暗号資産を売買する人だけの問題ではありません。
暗号資産について情報を発信する人にとっても、「どのような情報を、どのような表現で伝えるのか」を考えることが、これまで以上に重要になっていくと考えられます。
この記事では、暗号資産の情報発信を始めたい初心者の方に向けて、
- そもそも暗号資産とは何なのか
- 「金融商品になる」とはどういうことなのか
- 今回の改正で何が変わるのか
- なぜ情報発信をする人にも関係するのか
- これから暗号資産について発信する人が、まず何を意識すればよいのか
を、できるだけ難しい言葉を使わずに解説します。
- この記事の概要
- 第1章 そもそも「暗号資産」ってどんなもの?
- 第2章 「暗号資産が金融商品になる」ってどういうこと?
- 第3章 なぜ暗号資産のルールが変わるの?
- 第4章 今回の改正で何が変わるの?
- 第5章 「暗号資産について発信すること」が禁止されるわけではない
- 第6章 例えば、こんな発信には注意したい
- 第7章 これから暗号資産について発信する人が覚えておきたい3つのこと
- 第8章 今回の改正を「発信者目線」で整理すると?
- 第9章 「金融商品になったから、すぐに全部のルールが変わる」というわけではない
- 第10章 難しい法律を全部覚える必要はない
- 第11章 このシリーズでは、暗号資産の情報発信をもっと具体的に解説します
- まとめ|暗号資産の情報発信を始めるなら、まず「ルールが変わる」ことを知っておこう
- Q&A|暗号資産の情報発信について初心者が知っておきたいこと
- Q1.暗号資産が「金融商品」になると、個人が暗号資産について発信できなくなるのですか?
- Q2.暗号資産についてブログを書くだけでも、何か特別な資格が必要ですか?
- Q3.「この暗号資産は上がると思う」と自分の意見を書くのもダメですか?
- Q4.SNSで暗号資産を紹介するだけなら、ブログよりもルールは緩いですか?
- Q5.暗号資産の取引サービスを紹介して、アフィリエイト報酬をもらうのは問題ありませんか?
- Q6.暗号資産について発信するなら、金融商品取引法を全部勉強しなければいけませんか?
- Q7.「金融商品になった」ということは、暗号資産の価格が株式のように安定するという意味ですか?
- Q8.今回の改正は、もうすべて始まっているのですか?
- Q9.投資情報発信の初心者は、まず何を意識すればよいですか?
- Q10.暗号資産について発信していて「これは大丈夫かな?」と迷ったらどうすればいいですか?
- Q&Aのまとめ
- 執筆者プロフィール
- 参考資料・関連ページ
この記事の概要
この記事のポイント(3行まとめ)
- 暗号資産は、これまでより「投資商品」としてのルールが重視される方向に変わろうとしています。
- 今回の法改正は、暗号資産を売買する人だけでなく、暗号資産について情報発信する人にも関係します。
- 情報発信を始めるなら、難しい法律をすべて覚える前に「何を・どのように伝えるか」を意識することが大切です。
本記事の想定読者
この記事は、次のような方を想定しています。
- 暗号資産についてSNSやブログ、YouTubeなどで発信してみたい方
- 投資情報発信を始めたばかりの方
- 暗号資産に関するニュースや投資情報を発信したい方
- 「暗号資産が金融商品になる」と聞いたものの、何が変わるのかよく分からない方
- 金融法務の知識がなく、法律の難しい話は苦手という方
- 暗号資産の広告やアフィリエイト案件にも関心がある方
特に、「暗号資産について発信したいけれど、金融ルールについては何も分からない」という方に向けた入門記事です。
この記事を読むと分かること
この記事では、難しい法律用語をできるだけ使わず、次のような疑問を順番に解説します。
- そもそも暗号資産とはどのようなものなのか
- 「暗号資産が金融商品になる」とはどういう意味なのか
- なぜ今、暗号資産を取り巻くルールが変わろうとしているのか
- 今回の法改正によって、どのようなルールが整備されるのか
- 暗号資産の情報発信をする人にも関係するのはなぜなのか
- 「この暗号資産は上がる」などの表現に注意した方がよい理由
- 広告やアフィリエイト案件を扱うときに意識したいこと
- 暗号資産について発信する初心者が、まず覚えておきたい基本的な考え方
この記事を読み終える頃には、「暗号資産のルールが変わるらしいけれど、自分の情報発信にも関係するの?」という疑問を整理し、これから何を意識して発信すればよいのかが分かるようになることを目指します。
なお、本記事は暗号資産に関する法律を詳しく解説するものではありません。
まずは全体像をつかみ、「暗号資産について発信するなら、ルールを意識する必要がある」という基本的な考え方を身につけることを目的としています。
第1章 そもそも「暗号資産」ってどんなもの?
まずは、暗号資産について簡単に確認しておきましょう。
暗号資産とは、インターネット上でやり取りできるデジタルな資産です。
代表的なものとして、
- ビットコイン
- イーサリアム
などがあります。
暗号資産は、スマートフォンやパソコンなどを使って売買することができ、価格も日々変動します。
そのため、実際には「決済に使うもの」というだけでなく、値上がりを期待して保有する投資対象として利用される場面が増えてきました。
金融庁の資料でも、国内外で暗号資産が投資対象として位置付けられるようになっていることが、今回の制度見直しの背景の一つとして説明されています。
つまり、
「暗号資産=インターネット上のお金」
というイメージだけでは、現在の暗号資産を取り巻く状況を十分に説明できなくなってきたということです。
第2章 「暗号資産が金融商品になる」ってどういうこと?
ここが今回のニュースを理解するうえで、一番重要なところです。
「金融商品になる」と聞くと、
「ビットコインが株式になるの?」
と思うかもしれません。
そういう意味ではありません。
今回の改正では、暗号資産を株式などの「有価証券」と同じものにするのではなく、有価証券とは別の金融商品として、金融商品取引法のルールの中で扱うことが予定されています。
イメージすると、次のようになります。

金融庁は、今回の改正について、暗号資産取引に関する規制を資金決済法から金融商品取引法へ移し、利用者を守るための仕組みを充実させることを大きな目的の一つとしています。
したがって、初心者の方は、
「暗号資産が株式になる」のではなく、「暗号資産についても、投資商品としての性質を踏まえた金融ルールが整備される」
と理解しておくとよいでしょう。
第3章 なぜ暗号資産のルールが変わるの?
では、なぜ今になって暗号資産のルールを大きく見直すのでしょうか。
大きな理由の一つが、暗号資産が「投資対象」として利用されるようになってきたことです。
もともと暗号資産には、決済手段としての側面がありました。
しかし現在では、
「価格が上がるかもしれない」
「長期的に保有したい」
「投資先の一つとして考えたい」
という目的で暗号資産を利用する人も増えています。
金融庁の資料では、国内の暗号資産口座開設数が1,400万を超えていることなども示されています。
一方で、暗号資産をめぐっては、詐欺的な投資勧誘などの問題も指摘されています。
金融庁の規制の事前評価では、金融庁の相談窓口に寄せられる暗号資産に関する苦情・相談の多くが、詐欺的な投資勧誘や取引に関するものだとされています。
そのため、
「暗号資産を投資対象として利用する人が増えている以上、投資家を守るためのルールも整えていこう」
という方向に進んでいるわけです。
第4章 今回の改正で何が変わるの?
今回の改正にはさまざまな内容があります。
初心者の方は、まず次の4つを押さえておけば十分です。
① 暗号資産に関する情報を公表する仕組みが整う
今回の改正では、一定の暗号資産について、その性質や機能、供給量、基盤となる技術など、投資する人にとって重要な情報を公表する仕組みが整備されます。
簡単に言えば、
「その暗号資産は一体どんなものなのか?」
を投資する人が確認しやすくするための仕組みです。
これは情報発信をする人にとっても重要です。
暗号資産について記事や動画を作るのであれば、単にSNSで見かけた情報を紹介するのではなく、
「その情報には根拠があるのか?」
を確認することが、これからますます大切になります。
② 暗号資産を取り扱う事業者へのルールが変わる
今回の改正では、これまで「暗号資産交換業者」と呼ばれていた事業者について、金融商品取引法上の「暗号資産取引業者」という位置付けに変更することが予定されています。
そして、利用者を守るため、
- 取り扱う暗号資産についての審査
- 利用者の財産の管理
- 業務の管理
- セキュリティ対策
などについて、より細かなルールが整備されます。
もちろん、個人で暗号資産について情報発信をする人が、これらすべてのルールを理解する必要はありません。
ここで覚えておきたいのは、
「暗号資産を取り扱う事業者についても、より厳格なルールが整備される」
ということです。
③ 暗号資産についても「不正な取引」へのルールが強化される
今回の改正では、暗号資産についても、インサイダー取引を規制する仕組みが新たに整備されます。
「インサイダー取引」という言葉は難しく聞こえますが、ここでは、
「まだ一般には知られていない重要な情報を利用して、不公平な取引をすること」
くらいに考えてください。
例えば、暗号資産の取扱い開始・中止など、重要な情報を事前に知ることができる立場の人について、その情報が公表される前の取引などを規制する仕組みが整備されます。さらに、そのような情報を他人に伝えたり、取引を勧めたりすることも規制対象となります。
つまり、暗号資産についても、
「誰でも同じ条件で取引できる環境を守ろう」
という考え方が強くなっていきます。
④ お金をもらって意見を発信する場合の表示ルールも整備される
そして、暗号資産について情報発信をする人にとって特に注目したいのが、この部分です。
今回の改正では、一定の場合に、暗号資産について取引判断に関する意見を一般に発信し、その発信について事業者などから対価を受け取っている場合、対価を受け取っていることを表示するルールが設けられます。
少し難しく聞こえますが、イメージはそれほど難しくありません。
例えば、
「この暗号資産はおすすめです!」
という情報を発信している人がいて、その発信について暗号資産の関係事業者などからお金を受け取っているとします。
その場合、
「実はお金をもらって、この情報を発信しています」
ということが分かるようにする必要がある、という考え方です。
これは、いわゆるステルスマーケティングへの対応として位置付けられています。金融庁の資料でも、暗号資産についてこの表示義務を新たに適用することが示されています。
投資情報発信を始めたばかりの方にとって、ここは今後かなり重要になるポイントです。
第5章 「暗号資産について発信すること」が禁止されるわけではない
ここで、一つ誤解しないでいただきたいことがあります。
今回の改正によって、
「個人が暗号資産について発信してはいけなくなる」
というわけではありません。
例えば、
- ビットコインの仕組みを解説する
- 暗号資産に関するニュースを紹介する
- ブロックチェーンについて説明する
- 暗号資産市場について自分の考えを書く
- 過去の価格推移について解説する
といった情報発信そのものが、今回の改正によって一律に禁止されるわけではありません。
むしろ、暗号資産について正しい情報を分かりやすく伝えることには、大きな意味があります。
大切なのは、
「何を発信するか」だけではなく、「どのような立場で、どのような表現を使って発信するのか」
という点です。
第6章 例えば、こんな発信には注意したい
投資情報発信を始めたばかりの方は、まず「言い方」に注目してみてください。
例えば、
「この暗号資産は絶対に上がります!」
「今買わないと損です!」
「初心者ならこの暗号資産一択です!」
「このコインを買えば資産を増やせます!」
といった表現です。
これらは、単なる暗号資産の説明というよりも、読者に投資を強く勧めるような印象を与えやすい表現です。
一方、
「この暗号資産にはこのような特徴があります」
「過去にはこのような価格変動がありました」
「このニュースについては、○○という発表がされています」
といった表現なら、まずは事実や情報を伝えることを中心にしています。
もちろん、表現だけで直ちに法律上の問題が決まるわけではありません。
実際には、発信の内容、相手、方法、継続的なやり取りなど、さまざまな事情を考える必要があります。
ただ、初心者の段階では、
「断定しすぎない」
「事実と自分の意見を分ける」
「読者に過度な期待を持たせない」
という3点を意識するだけでも、発信の仕方は大きく変わります。
第7章 これから暗号資産について発信する人が覚えておきたい3つのこと
今回の改正を知ったうえで、これから暗号資産について情報発信を始める方には、まず次の3点を覚えておいていただきたいと思います。
① 「情報を発信すること」と「投資を勧めること」は同じではない
暗号資産について説明することと、
「この暗号資産を買ってください」
と勧めることは、同じではありません。
まずは、
「自分は今、情報を説明しているのか、それとも投資を勧めようとしているのか?」
と考える習慣をつけましょう。
② 「絶対」「必ず」「確実」などの表現には注意する
暗号資産の価格は将来どうなるか分かりません。
そのため、
「絶対に上がる」
「確実に儲かる」
といった断定的な表現を安易に使うのは避けた方がよいでしょう。
投資情報発信では、「分からないことを分からないと言えること」も大切な発信力です。
③ 「誰からお金をもらっているのか」を意識する
今後、暗号資産について発信していると、
「このサービスを紹介してくれませんか?」
「広告案件をお願いしたい」
「アフィリエイトで紹介してもらえませんか?」
といった依頼が来る可能性があります。
この場合には、単純に、
「報酬がもらえるから紹介しよう」
と考えるのではなく、
「自分の発信が広告やPRとして受け取られる可能性はないか?」
と考えることが大切です。
今回の改正でも、対価を受け取って暗号資産について取引判断に関する意見を表示する場合の表示ルールが整備されることになっています。
第8章 今回の改正を「発信者目線」で整理すると?
ここまでの内容を、投資情報発信初心者の目線で整理してみましょう。

この表を見て分かるように、今回の改正は、
「暗号資産について発信してはいけない」という話ではありません。
むしろ、
「暗号資産について発信するなら、これまで以上に情報の正確さや発信の仕方を意識しましょう」
という方向の変化と考えると分かりやすいでしょう。
第9章 「金融商品になったから、すぐに全部のルールが変わる」というわけではない
ここは初心者の方にも、ぜひ注意していただきたいところです。
今回の法律改正は2026年7月15日に成立しました。
しかし、暗号資産に関する主要な改正部分については、法律が成立したその日にすべての新しいルールが始まったわけではありません。
改正法は、原則として公布の日から1年を超えない範囲で政令が定める日に施行されることになっています。
そのため、この記事を書いている2026年8月時点では、
「法律は成立した。これから具体的な新制度が施行されていく」
という段階として理解しておくのが適切です。
今後、政令や内閣府令などによって具体的な内容がさらに定められる可能性があります。
したがって、暗号資産について情報発信する人は、ニュースを一度読んで終わりにするのではなく、制度の施行や今後のルール変更にも目を向けることが大切です。
第10章 難しい法律を全部覚える必要はない
ここまで読むと、
「暗号資産について発信するには、金融商品取引法を全部勉強しないといけないの?」
と思うかもしれません。
しかし、投資情報発信を始めたばかりの段階で、金融法務をすべて理解する必要はありません。
まずは、
①何について発信するのか
②誰に向けて発信するのか
③どのような言葉を使うのか
④誰かから報酬をもらっていないか
⑤紹介する商品やサービスについて確認したか
という基本的な視点を持つことから始めれば十分です。
特に大切なのは、
「よく分からないけれど、とりあえずおすすめしてみよう」
という発信をしないことです。
分からないことを確認してから発信する。
事実と自分の意見を分ける。
将来の価格について断定しない。
報酬を受け取る場合は、そのことを意識する。
こうした小さな積み重ねが、長く情報発信を続けていくうえで重要になります。
第11章 このシリーズでは、暗号資産の情報発信をもっと具体的に解説します
今回の記事では、暗号資産を取り巻く大きな変化について説明しました。
ただ、実際に情報発信を始めると、
「この表現は使っていいの?」
「YouTubeならどう考える?」
「アフィリエイト案件を受けたら?」
「暗号資産を紹介するだけでも問題になるの?」
といった疑問が出てくるはずです。
そこで、このシリーズでは、暗号資産について情報発信を始めたい初心者の方に向けて、次のようなテーマを順番に解説していきます。

※第7回の記事は、有料note記事としてご提供する予定です。
第2回以降では、今回のような制度の話だけではなく、実際にSNS・ブログ・YouTubeなどで発信するときに何を意識すればよいのかを、具体例を交えながら解説していきます。
まとめ|暗号資産の情報発信を始めるなら、まず「ルールが変わる」ことを知っておこう
今回の記事のポイントを最後に整理します。
POINT 1
暗号資産を取り巻くルールは大きく変わろうとしています。
2026年7月15日に、暗号資産取引に関する金融商品取引法等の改正法が成立しました。暗号資産取引を金融商品取引法の枠組みで扱い、有価証券とは別の金融商品として位置付けることが予定されています。
POINT 2
目的の一つは、暗号資産を投資対象として利用する人を守ることです。
暗号資産の投資対象化が進む一方、詐欺的な投資勧誘などの問題もあり、情報の公表、不正な取引への対応、事業者へのルールなどが整備されます。
POINT 3
情報発信をする人にも関係するルールが整備されます。
特に、対価を受け取って暗号資産について取引判断に関する意見を発信する場合の表示ルールは、これから暗号資産の広告・PR案件などを扱う人にとって重要なポイントです。
POINT 4
暗号資産について発信すること自体が禁止されるわけではありません。
大切なのは、正確な情報を確認し、誤解を招く表現を避け、広告や報酬などが関係する場合には、その点も意識して発信することです。
暗号資産の情報発信を始めるなら、まず必要なのは難しい法律をすべて覚えることではありません。
「自分は何を伝えようとしているのか?」
「その情報には根拠があるのか?」
「読者に投資を強く勧めるような表現になっていないか?」
この3つを意識するところから始めてみてください。
そして次回は、もう一歩進んで、
「暗号資産について発信するときのルールは?投資情報発信初心者が知っておきたい基本」
をテーマに、「情報を伝えること」と「投資を勧めること」は何が違うのかを、具体例を使いながら分かりやすく解説します。
Q&A|暗号資産の情報発信について初心者が知っておきたいこと
Q1.暗号資産が「金融商品」になると、個人が暗号資産について発信できなくなるのですか?
いいえ。暗号資産について情報発信すること自体が禁止されるわけではありません。
例えば、
- 暗号資産の仕組みを解説する
- 暗号資産に関するニュースを紹介する
- 過去の価格の動きを紹介する
- ビットコインなどについて自分の考えを発信する
といった情報発信が、一律にできなくなるわけではありません。
大切なのは、「何を発信するのか」だけでなく、「どのような言い方で発信するのか」です。
特に、「絶対に上がる」「必ず儲かる」といった、将来の利益を断定するような表現には注意が必要です。
Q2.暗号資産についてブログを書くだけでも、何か特別な資格が必要ですか?
ブログを書くことだけを理由に、直ちに特別な資格が必要になるわけではありません。
ただし、発信の内容によっては注意が必要です。
例えば、
「ビットコインとはどのようなものか解説します」
という記事と、
「あなたは今すぐビットコインを買うべきです」
という記事では、読者に与える印象が大きく違います。
そのため、暗号資産について発信するときは、単なる情報の紹介なのか、それとも読者に投資を勧める内容なのかを意識することが大切です。
Q3.「この暗号資産は上がると思う」と自分の意見を書くのもダメですか?
自分の意見を書くこと自体が、すぐに問題になるというわけではありません。
ただし、
「私はこの暗号資産が将来性のあるものだと考えています」
という書き方と、
「この暗号資産は必ず上がります」
という書き方では意味が違います。
前者は自分の考えを示しているのに対して、後者は将来の値上がりを断定しています。
投資情報を発信するときは、「自分の予想」と「確実な事実」を混同しないことが大切です。
Q4.SNSで暗号資産を紹介するだけなら、ブログよりもルールは緩いですか?
いいえ。SNSだから特別に自由というわけではありません。
X、Instagram、YouTube、ブログ、noteなど、どの媒体で発信する場合でも、発信する内容や方法について考える必要があります。
特にSNSでは、短い文章や目立つ画像で、
「今すぐ買うべき!」
「このコインは10倍になる!」
など、強い表現を使ってしまいやすいため注意しましょう。
「短い文章だから大丈夫」ではなく、短いからこそ慎重に言葉を選ぶことが大切です。
Q5.暗号資産の取引サービスを紹介して、アフィリエイト報酬をもらうのは問題ありませんか?
アフィリエイトを行うこと自体を、直ちに禁止するという話ではありません。
ただし、報酬を受け取って紹介する場合には、通常の情報発信よりも注意が必要です。
例えば、
「私はこのサービスを使った経験があります」
という紹介と、
「報酬を受け取る契約をしたうえで、このサービスをおすすめしています」
という紹介では、読者にとって重要な情報が異なります。
今回の法改正でも、暗号資産について取引の判断に関する意見を発信し、その発信について対価を受け取る場合の表示ルールが整備されることになっています。
そのため、暗号資産関連の広告やアフィリエイト案件を受ける場合には、「お金を受け取って紹介していることを、読者にきちんと分かってもらえるか」という視点を持つことが重要です。
Q6.暗号資産について発信するなら、金融商品取引法を全部勉強しなければいけませんか?
いいえ。投資情報発信を始めたばかりの段階で、法律をすべて覚える必要はありません。
まずは、
- 発信する情報が正しいか確認する
- 事実と自分の意見を分ける
- 利益を断定するような表現を避ける
- 広告やアフィリエイトなら、そのことを意識する
- 紹介するサービスについて確認する
といった基本的なことから始めればよいでしょう。
分からないことが出てきたら、その都度調べる。
必要であれば専門家に確認する。
こうした姿勢も、情報発信を続けるうえでは大切です。
Q7.「金融商品になった」ということは、暗号資産の価格が株式のように安定するという意味ですか?
いいえ。「金融商品として扱われること」と「価格が安定すること」は別の話です。
暗号資産の価格は今後も変動する可能性があります。
今回の制度変更は、暗号資産の価格を安定させるものではなく、暗号資産を投資対象として利用する人を守るためのルールを整えていくことが大きな目的の一つです。
そのため、
「金融商品になったから安心して儲けられる」
という意味ではありません。
Q8.今回の改正は、もうすべて始まっているのですか?
いいえ。法律が成立した日に、すべての新しいルールが始まったわけではありません。
今回の改正法は2026年7月15日に成立しましたが、暗号資産に関する主要な改正部分については、公布の日から1年を超えない範囲内で、政令で定める日に施行されることになっています。
そのため、今後さらに具体的なルールが決まっていく可能性があります。
暗号資産について継続的に情報発信する方は、「一度勉強したから終わり」ではなく、今後の制度変更にも注意することが大切です。
Q9.投資情報発信の初心者は、まず何を意識すればよいですか?
最初から難しい法律を覚える必要はありません。
まずは、記事や動画を投稿する前に、次の5つを確認してみてください。
- その情報は本当に正しいか?
- 事実と自分の意見を分けているか?
- 「絶対」「必ず」など、断定的な表現を使っていないか?
- 誰かからお金をもらって紹介していないか?
- 読者に投資を強く勧める内容になっていないか?
この5つを意識するだけでも、これまでより慎重に情報発信を考えられるようになります。
Q10.暗号資産について発信していて「これは大丈夫かな?」と迷ったらどうすればいいですか?
分からないまま投稿しないことが一番大切です。
情報発信では、
「たぶん大丈夫だろう」
と考えて投稿してしまうより、
「この表現は大丈夫かな?」
と一度立ち止まる方が安全です。
まずは、発信しようとしている内容を整理して、
- 何を伝えたいのか
- 誰に伝えるのか
- どのような表現を使うのか
- 広告やアフィリエイトではないか
- 誰かから報酬を受け取っていないか
を確認してみましょう。
それでも判断できない場合は、信頼できる公的機関の情報を確認したり、必要に応じて金融法務に詳しい専門家へ相談したりすることも選択肢になります。
Q&Aのまとめ
暗号資産の情報発信を始めたばかりの方にとって、最初から法律を完璧に理解することは簡単ではありません。
だからこそ、まずは、
「何を発信するのか」
「どのような言葉で伝えるのか」
「誰かから報酬を受け取っているのか」
という3つを意識してみてください。
暗号資産について発信すること自体を恐れる必要はありません。
大切なのは、正しい情報を確認し、読者に誤解を与えないように、分かりやすく伝えることです。
本シリーズでは、次回以降、暗号資産の情報発信で注意したい表現や、SNS・ブログ・YouTubeで発信するときのポイント、広告・アフィリエイト案件を受けるときの注意点などを、初心者向けに順番に解説していきます。
執筆者プロフィール
金融法務コンサルタント。元行政書士として、IFA登録や投資助言・代理業登録の支援実績多数。
現在は、ブログ・noteを通じて、金融ビジネスに関わる実務家向けに、制度解釈や実務上の注意点を中心とした情報発信を行っています。現在公開中の有料note記事は、金融法務note集で紹介していますので、ご興味のある方は、ご覧ください。
本サイトでは、可能な限り一次情報・実務視点に基づいた解説を行っていますが、個別事案については一般論だけでは判断が難しいケースも少なくありません。そのような場合に限り、筆者が提供している金融法務サポートにおいて、制度上の位置付け整理やリスクの考え方についての整理支援を行っています。
本サイトでは、投資情報発信、投資助言・代理業、IFAビジネスに関する法務・コンプライアンス情報を解説しています。
ただし、個別の事業形態や状況によっては、情報だけでは判断が難しいケースもあります。そのような場合の補足的な選択肢として、コレクト金融法務コンサルタント事務所では、個別整理を目的とした金融法務サポートを行っています。
参考資料・関連ページ
※ 本記事は、以下の一次資料・業界ガイドラインを踏まえて作成しています。
参考資料
・金融庁:「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案」説明資料
・金融庁:「国会提出法案等」
・衆議院:「第221回国会閣法第57号法律案等概要」
関連ページ
・投資情報発信入門
・【解説】暗号資産に関する助言を行う際の注意点
・【解説】暗号資産の金融商品取引法への枠組み移行の方針が暗号資産への投資助言に与える影響
・現物暗号資産への助言は投資助言業?法改正で広がる登録義務の可能性

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